“債券市場の「金利低下トラップ」に要注意”
- 米国10年国債利回りは年初から低下を続け、利回り低下に対して株式市場は様々な反応を示してきたが、3/22に2.418%まで低下し、TB3か月物の2.46%台を下回る「(長短)逆イールド」現象がトリガーとなってVIX指数も16台まで急上昇、NYダウも前日比460ドル安と、1/3(660ドル安)に次ぐ今年2番目の下げ幅となった。3/20に終了したFOMCでは、成長率見通しが2019年は2.3%から2.1%へ、2020年は2.0%から1.9%へ引き下げられバランスシート縮小も9月末に停止する方針が示されるなどハト派色を強める内容で、市場の「利下げ」催促に対して満額回答といえるものだった。それを受けて長期金利は低下を辿っていたが、3/20はリスクオフが先行してNYダウで141ドル安だったのに対し、3/21は3月フィラディルフィア連銀製造業指数や2月景気先行指数が予想を上回ったこともあってリスクオンに傾くなど、株式市場の反応は日替わりで異なるものだった。
- ここまでの長期金利低下に対する株式市場の反応を振り返ると、①パウエル議長からの「利上げ停止」メッセージを素直に好感する展開、②中国や欧州などのグローバル経済減速を示す経済指標に対しても、インフレ圧力を緩和する程度に見なし、内需を中心に好調な米国経済の景気指標を受けて上昇する展開、③FRBの目標である年率2%を上回る範囲での「適温相場」を示す物価上昇率を維持したまま長期金利が低下することによって実質長期金利が低下することから、負債比率が相対的に高い半導体関連株やIT関連株に対してポジティブに反応する展開など、異なる表情を見せながらも、株式市場は、逆イールドにならない限りは、長期金利低下を好意的に評価していたものと言えよう。
- しかしながら、3/22の長短金利逆イールド現象による株式相場の売りは、主に欧州の景気指標を材料に発生したものである。逆イールドが不況の前兆として株式の売り材料になることは事前にAIなどでプログラミングされており、金融市場に大きなボラティリティーを発生させて短期的に利益を上げたい投機筋に狙われやすい状況にもあっただろう。昨年以降、国内産業保護のための関税政策によって米国とその他のグローバル経済は必ずしても同調しておらず、欧州の減速が米国経済減速にはつながらないことには注意が必要であろう。
- 最近は、民主党も政府債務残高に関する「MMT(現代金融理論)」を取り入れる機運もあり、財政赤字への抵抗感も薄れつつあることから、政府支出による景気下支えが期待できる状況である。押し目の後の再出発に期待したい。(笹木)
- 3/26号ではコナグラ・ブランズ(CAG)、ダーデン・レストランツ(DRI)、マイクロン・テクノロジー(MU)、ニューズ・コーポレーション(NWSA)、ティファニー・アンド・カンパニー(TIF)、トゥイリオ(TWLO)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(3/22現在)
主要企業の決算発表予定
3月26日(火) | マコーミック、カーニバル |
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3月27日(水) | ペイチェックス、PVH、レナー |
3月29日(金) | カーマックス |
主要イベントの予定
3月26日(火) |
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3月27日(水) |
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3月28日(木) |
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3月29日(金) |
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3月31日(日) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
コナグラ・ブランズ(CAG)市場:NYSE ・・・2019/6/26に2020/5期4Q(3-5月)の決算発表を予定
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ダーデン・レストランツ(DRI)市場:NYSE ・・・2019/6/20に2019/5期4Q(3-5月)の決算発表を予定
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マイクロン・テクノロジー(MU)市場:NASDAQ ・・・2018/6/20に2019/8期3Q(3-5月)の決算発表を予定
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ニューズ・コーポレーション(NWSA)市場:NASDAQ ・・・2019/5/9に2019/6期3Q(1-3月)の決算発表を予定
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ティファニー・アンド・カンパニー(TIF)市場:NYSE ・・・2019/6/4に2020/1期1Q(2-4月)の決算発表を予定
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トゥイリオ(TWLO)市場:NYSE ・・・2019/5/7に2019/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
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