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パーフェクトストームの半導体株!!「デジタル」でなく、「アナログ」を買え!?

2022/8/10
投資情報部 榮 聡

半導体株の中でも株式市場では地味な存在である「アナログ半導体」のパフォーマンスが堅調です。背景には自動車、産業機器向けの半導体需給はタイトな状況が続いており、これらには多くのアナログ半導体が使われることがあるようです。そして、この状況は当面継続する見通しです。主要なアナログ半導体銘柄をご紹介いたします。

図表1 注目銘柄リスト

銘柄 株価(8/9) 52週高値 52週安値
テキサス インスツルメンツ(TXN) 177.71ドル 202.26ドル 144.46ドル
アナログ デバイセズ(ADI) 170.37ドル 191.95ドル 138.50ドル
NXP セミコンダクターズ(NXPI) 171.04ドル 239.91ドル 140.33ドル
ON セミコンダクタ(ON) 63.08ドル 71.26ドル 40.85ドル
モノリシック パワー システムズ(MPWR) 511.06ドル 580.00ドル 348.02ドル
  • ※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

1 アナログ半導体株が好調 

8/8(月)にはエヌビディアが5-7月期売上はガイダンス中央値の81億ドルを大幅に下回る67億ドルにとどまったようだとし、翌8/9(火)にはマクロンテクノロジーが6-8月期の売上はガイダンスの68〜76億ドルを下回る見通しとして、半導体株はパーフェクトストームの様相です。

半導体株からなる「フィラデルフィア半導体株指数」は、7/1(金)に付けた安値から8/5(金)終値にかけて24.2%の上昇と戻りが目立っていましたが、ここ2日間で6.1%の下落となっています。

ただ、その中身をみると、パフォーマンスが好調なものとそうでもないものの乖離が大きくなっています。今回はパフォーマンスが好調な、アナログ半導体にフォーカスしてご報告いたします。

〇アナログ半導体株が好調

図表2にフィラデルフィア半導体株指数と主要銘柄がほとんど重なっている、S&P500指数に採用されている半導体・半導体製造装置の18銘柄について、年初来と過去1ヵ月の株価パフォーマンスを比較しています。

これをみてわかるのは、年初来のパフォーマンスが相対的に良好な銘柄は、主にアナログ半導体を製造している銘柄群だということです。

上位の4銘柄は、いずれもアナログ半導体メーカーです。年初来のパフォーマンスが良好だけでなく、直近の反発局面でも好決算を背景にフィラデルフィア半導体株指数の上昇率を上回っているものが多くなっています。

〇アナログ半導体株が好調の理由

アナログ半導体株の好調には、半導体の分野別需給が影響しているとみられます。

8/2(火)の日本経済新聞に、業界専門家へのアンケートに基づいてまとめられた、需要分野別の半導体需給が掲載されていました。

「半導体逼迫ピーク越す スマホ・パソコン用が供給過剰」と題する同記事によると、スマートフォン、パソコン、家電向けの半導体は需給が緩んでいるのに対して、車載、産業機器、データセンター向けの需給は依然としてタイトであることが示されていました。そして、この傾向はこの先6ヵ月についても概ね変わらないとの見通しでした(図表3)。

スマートフォン、パソコン、家電には、パンデミック期間中に需要が拡大した反動が出ていると考えられます。一方、車載、産業機器には半導体の搭載率が上昇するという中期的なトレンドがあり、また、データセンターについては企業のIT投資が堅調に推移していることがこのような乖離を生んでいると考えられます。

そして、需給がタイトな車載、産業機器にはアナログ半導体が多用されることが、アナログ半導体株のパフォーマンスが好調な理由と考えられます。

このような動きは、アナログ半導体でトップシェアをもつテキサスインスツルメンツの4-6月期決算からもうかがえます。市場別の売上動向について同社は、「パーソナルエレクトロニクス(スマホ、パソコンが含まれる)に弱さが見られるものの、それ以外の市場は強い」とコメントしています。

具体的な市場別伸び率は、いずれも前年同期比で産業機器が一桁台後半、自動車が20%以上、通信機器が約25%、エンタープライズ機器が10%台半ばに対して、パーソナルエレクトロニクスは一桁台の前半としています。

過去2日間は、半導体株は一緒くたに売られていますが、押し目を買うべきは「アナログ半導体」なのではないでしょうか。

図表2 主要半導体銘柄の株価騰落率(8/5(金)時点)

コード 銘柄名 年初来
株価騰落
(%)
1ヵ月
株価騰落
(%)
MPWR モノリシック・パワー・システムズ 7.9 37.7
ADI アナログ・デバイセズ 0.8 19.3
ON オン・セミコンダクター -0.4 30.0
TXN テキサス・インスツルメンツ -2.2 19.1
KLAC KLA -8.0 26.0
AVGO ブロードコム -17.1 10.6
QCOM クアルコム -17.9 11.8
MCHP マイクロチップ・テクノロジー -17.9 21.6
NXPI NXPセミコンダクターズ -20.2 19.5
SWKS スカイワークス・ソリューションズ -27.4 14.7
LRCX ラムリサーチ -27.7 25.3
AMD アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) -28.9 29.0
AMAT アプライド・マテリアルズ -30.3 20.8
INTC インテル -31.3 -7.2
QRVO コルボ -32.2 5.6
MU マイクロン・テクノロジー -32.9 6.1
NVDA エヌビディア -35.4 19.7
TER テラダイン -38.4 10.1
SOX フィラデリフィア半導体株指数 -22.6 23.2

注:S&P500指数の「半導体・半導体製造装置」指数構成銘柄です。太陽光発電関連のエンフェーズエナジー、ソーラーエッジテクノロジーは除いています。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

図表3 製品分野別の半導体需給状況

21年6月 21年12月 22年6月 22年12月
(予想)
パソコン 均衡 均衡 緩和 供給過剰
スマートフォン タイト 均衡 緩和 緩和
家電 タイト 均衡 緩和 緩和
自動車 逼迫 逼迫 タイト 均衡
データセンター 逼迫 逼迫 タイト 均衡
産業機器 逼迫 タイト タイト タイト

※8/2(火)付日本経済新聞記事をもとにSBI証券が作成

2地味なアナログ半導体を改めて解説

米国の半導体銘柄で投資家によく知られているものと言えば、エヌビディア、インテル、アドバンストマイクロデバイセズ、クアルコムなどでしょうか。

これらはいずれも“アナログでない半導体”を主力としています。アナログ半導体メーカーは、株式市場では地味な存在で、比較的取り上げられることが少ないため、以下に改めてご解説いたします。

〇アナログ半導体とは

Google検索で「アナログ半導体」を検索すると、以下のような説明となります。

「アナログ半導体とは、光や音、温度や圧力などの物理的な現象の変化に対する連続的な電気信号(アナログ信号)を処理・制御するための半導体のこと。 センサーで取り込んだ光や熱(温度)、音声、振動などのアナログ信号をデジタル信号に変換したり、またその逆を行う。 スマホやIoT機器、自動車などに幅広く使われている。」

半導体にはデジタル信号の処理のみを行うものと、アナログ信号を扱うものがあります。インテル、エヌビディア、アドバンストマイクロデバイセズが主力としているCPU(中央演算装置)やGPU(グラフィックプロセッシングユニット)はデジタル信号の処理のみを行います。これらは搭載される電子機器の中心的な半導体となり、単価も高いものが多く、株式市場で目立つ存在となっています。

一方、自然界のアナログ信号をCPUなどで処理するには、まず、アナログ信号をデジタル信号に変換する必要があり、これを行うのがアナログ半導体になります。アナログ半導体が自動車や産業機器に多用されるのは、光、温度、圧力など外界の環境との相互作用を行うことが多いからということになります。

〇アナログ半導体の売上ランキング

2021年アナログ半導体の売上ランキングによると、テキサスインスツルメンツが市場シェア19.0%でトップ、アナログデバイセズが12.7%で2位です。アナログ半導体に投資すると言えば、まずこの2銘柄を中心に検討するということになるでしょう。

一方、3位のスカイワークス ソリューションズ、6位のクォルボはスマホ向けの構成比が高くなっています。アップルのiPhoneの売上が拡大するときに注目されることがある銘柄ですが、現在はスマホ市場が鈍化しつつあるため、先行きに対する警戒感が高まっています。

7位のNXP セミコンダクターズは欧州企業ですが、米国に上場しているため、当社で取り扱っています。自動車向けの比率が高い銘柄です。9位のマイクロチップ テクノロジーは、マイクロコントローラーが主力でアナログ半導体の売上構成順位比は28%にとどまっています。

産業別売上構成比

主なアナログ半導体メーカーについて、産業別売上構成比を需給が堅調な「産業機器、自動車、エンタープライズなど」と需給が軟化している「スマホ、パソコン、家電など」に分けて示しています。

前者の構成比が大きいメーカーについては、後者の悪化をカバーして堅調な業績が続く可能性が高いと考えられ、注目できるでしょう。

図表4 アナログ半導体の売上ランキング(2021年)

順位 企業名 本社 市場シェア
1 テキサス インスツルメンツ(TXN) 米国 19.0%
2 アナログ デバイセズ(ADI) 米国 12.7%
3 スカイワークス ソリューションズ(SWKS) 米国 8.0%
4 インフィニオン 欧州 6.5%
5 STマイクロエレクトロニクス 欧州 5.3%
6 クォルボ(QRVO) 米国 5.2%
7 NXP セミコンダクターズ(NXPI) 欧州 4.7%
8 ON セミコンダクタ(ON) 米国 2.9%
9 マイクロチップ テクノロジー(MCHP) 米国 2.5%
10 ルネサスエレクトロニクス(6723) 日本 1.5%

注:当社で株式の取り扱いがある銘柄については、証券コードを入れています。
※IC Insightsの公表資料をもとにSBI証券が作成

図表5 主要アナログ半導体メーカーの産業別売上構成比

企業名 産業機器、自動車、エンタープライズなど
構成比
スマホ、パソコン、家電など
構成比
テキサスインスツルメンツ
(2021年12月期)
産業機器41%、自動車21%、エンタープライズシステム6%、通信機器6% 合計74% パーソナルエレクトロニクス24%、電卓など2%
アナログデバイセズ
(2021年10月期)
産業機器55%、自動車17%、通信機器16%
合計88%
コンシューマー12%
NXPセミコンダクターズ
(2021年12月期)
自動車50%、産業機器&IoT22%、通信インフラほか16% 合計88% スマホ13%
オンセミコンダクター
(2021年12月期)
自動車34%、産業機器27% 合計61% その他39%

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

3アナログ半導体の主要銘柄

テキサス インスツルメンツ(TXN)

【アナログ半導体で19.0%のトップシェア】

・1930年創業の老舗半導体メーカー。2021年12月期の売上は世界シェアがトップのアナログ半導体が77%を占めるほか、組み込みプロセッサーが17%、その他ビジネスが6%を占めます。米国の半導体企業には製造を外注してファブレスとなっているものが多い中、同社は主に自社で生産していることが特徴です。2021年12月期の営業利益率が48.8%と主要半導体メーカーの中でトップクラスの高さを達成しています。

・4-6月期売上は前年同期比14%増、EPSは同20%増と堅調でした。中国の新型コロナによるロックダウンの影響をきつく見積もり過ぎていたため、市場予想を大幅に上回る結果となりました。7-9月期の売上ガイダンスは、49〜53億ドルで前年比6〜14%増相当です。第1節でご紹介した通り、同社CEOは「パーソナルエレクトロニクス(スマホ、パソコンが含まれる)に弱さが見られるものの、それ以外の市場は強い」とコメントしており、先行きに自信をみせています。

アナログ デバイセズ(ADI)

【アナログ半導体で12.7%の2位】

・テキサスインスツルメンツに次ぐ世界2位のアナログ半導体メーカー。アナログ半導体を中心に、ミックストシグナル、パワーマネジメント、高周波部品なども手掛けます。M&Aに積極的で2017年にリニアテクノロジー、2021年8月にマキシム・インテグレーテッドを買収しています。2021年10月期のGAAPベースの営業利益率は23.1%ですが、調整後の営業率利益率は42.2%に達し、2022年10月期は48.8%とテキサスインスツルメンツにそん色ない水準に達する予想です。

・2-4月期決算は買収したマキシム・インテグレーテッドの寄与があり、売上が前年同期比79%増、調整後EPSが同56%でした。2022年10月期の売上は前年比56%の増収が予想されていますが、買収効果を除くオーガニックグロースも10%台の半ばから後半の伸びが前提になっているようです。自動車、産業機器向けが堅調なほか、同社が強みをもつ通信インフラ向けも伸びると期待されています。5-7月期決算を8/17(水)に発表予定です。

NXP セミコンダクターズ(NXPI)

【オランダの半導体メーカー】

・フィリップスの半導体部門が分離独立したオランダの半導体メーカー。自動車向けの売上が50%を占めて高いことが特徴です。 2015年にフリースケール(米モトローラの半導体部門が分離した会社)を買収しています。同社に対してクアルコムが買収手続きを進めましたが、中国政府からの承認を得られず2018年に頓挫しています。

・自動車や産業機器の半導体需要拡大を背景に会社は今後数年の年間売上成長率として20〜25%を掲げています。4-6月期の売上は前年同期比28%増、調整後営業利益が同44%増と好調です。分野別の売上は自動車が前年同期比36%増、前四半期比10%増、産業機器&IoTが前年同期比25%増、前四半期比5%増と好調です。一方、モバイルは前年同期比12%増ながら、前四半期比3%減でした。

ON セミコンダクタ(ON)

【自動車・産業機器向けの需要が拡大】

・アナログ半導体の中堅メーカー。米モトローラの半導体部門が前身で、その後買収(三洋電機の半導体部門を含む)を重ねて成長しました。同社によると、自動車と産業機器向けの半導体需要は半導体市場全体の3倍の成長率で伸びているとしています。4-6月期売上の38%が自動車向け、28%が産業機器向けで、合計66%に達して、市場拡大の恩恵を受けています。

・4-6月期の売上は前年同期比25%伸びて、粗利率も49.7%と前年同期の38.3%から大幅に改善、調整後EPSは同113%増と好調です。7-9月期ガイダンスは、売上が20.7〜21.7億ドル(前年同期比19〜25%増相当)、EPS(調整後でない)は1.25〜1.37ドル(同78〜96%増相当)です。

モノリシック パワー システムズ(MPWR)

【電源ソリューションの会社】

・電源モジュール、DC/DCコンバータなど半導体ベースの電源ソリューションを提供している会社。最終需要市場の売上構成比は、ストレージ&コンピューティングが26.5%、コンシューマー21.1%、エンタープライズデータ14.2%、自動車13.2%、通信12.9%、産業機器その他12.1%と幅広く分散されています(2022年4-6月期)。機器の小型化が進む中で省スペース化が得意なことで需要が拡大している模様です。

・4-6月期の売上は前年同期比57%増、1-3月期比でも同22%増と好調です。最終需要市場別には、ストレージ&コンピューティングが同2.1倍とけん引、その他の主要市場も拡大となっています。7-9月期の売上ガイダンスは4.8〜5.0億ドルで、前年同期比48〜55%増相当です。

図表6 主要アナログ半導体銘柄の投資指標

銘柄名(コード) 株価
(8/8)
(ドル)
予想PER
(倍)
今期予想
売上増加率
(%)
今期予想
EPS増加率
(%)
目標株価
(ドル)
テキサス・インスツルメンツ 182.80 20.1 10.2 15.0 177.85
アナログ・デバイセズ 175.86 18.0 73.6 41.8 197.04
NXPセミコンダクターズ 179.96 12.9 19.7 28.7 198.63
オン・セミコンダクター 67.34 13.5 21.9 50.6 73.96
モノリシック・パワー・システムズ 535.52 39.6 51.7 69.6 567.89

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

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