“景気指標次第で軟調な展開も”
- 貿易摩擦への懸念が投資家心理を冷やしている。6月中旬以降、世界的に株安が加速し6月の高値から下旬の安値の下落率は、先進国で構成されるMSCIワールドインデックスの3.8%に対してNYダウが5.5%、独DAXが8.1%、上海総合指数は11.1%。中国株の下落が影響し、新興国の代表的指数MSCIエマージング・マーケット・インデックスは、高値から安値で7.3%の下落である。
7/6には米中で、関税が発動される見通しである。米中の協議は水面下で継続しているものと見られるが、進展が見られなければ世界株安が一段と進む可能性もあろう。また、トランプ政権による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に対しては、各国・地域が反発を強めている。中国は4/2に米国からの輸入農産物を中心に豚肉やワインなど約30億ドル(約3,300億円)分を対象に関税上乗せ措置を発動している。EUは与党・共和党の有力議員の選挙区の有力産品であるジーンズ、オートバイやウイスキーなどを狙い撃ちした報復関税を6/22に発動し、カナダは鉄鋼、アルミ、ウイスキーを対象とした報復関税を7/1に発動した。 - 中国との貿易を主因とする大幅な貿易赤字改善に向け、正面からメスを入れたトランプ政権であるが、米国内では産業界から異論が相次いでいる。米輸入鉄鋼協会は、鉄鋼への追加関税は違憲として米国際貿易裁判所に提訴し、米自動車工業会は輸入への追加関税に反対する意見書を商務省に提出した模様である。また、ゼネラル・モーターズ(GM)は6/29、商務省に「輸入関税が拡大したら、GMの事業縮小や米国での存在感が低下する可能性があり、米国の雇用が増加するどころか減少する恐れがある」旨の意見書を提出。GMのメアリー・バーラCEOは、報復関税が従業員、消費者にとって影響がいかに深刻なものになるかトランプ政権に警告を発した格好である。
中国の6月の製造業PMIは、政府及び民間ベースの発表データがともに前月及び市場予想を下回った。米国ではISMの製造業、非製造業の統計や雇用関連指標など月初の景気指標が金融市場に影響を及ぼす可能性もあり、注目したい。個別には、原油高からエネルギー関連のほか、好業績の消費や不動産、ハイテク、ストレステストを終えた金融などからピックアップしたい。(庵原) - 7/3号ではアマゾン・ドット・コム(AMZN)、シェブロン(CVX)、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)、レナー(LEN)、マーベルテクノロジーグループ(MRVL)、ナイキ(NKE)を取り上げた。
ウィークリーストラテジー

S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(6/29現在)


主要企業の決算発表予定
7月3日(火) | GM4-6月期販売台数 |
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10日(火) | ペプシコ |
主要イベントの予定
3日(火) |
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4日(水) |
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5日(木) |
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6日(金) |
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- ※Bloombergをもとにフィリップ証券作成
銘柄ピックアップ
アマゾン・ドット・コム(AMZN) ・・・2018/7/26に2018/12期2Q(4-6月)決算発表の予定
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シェブロン(CVX) ・・・2018/7/27に2018/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定
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JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM) ・・・2018/7/13に2018/12期2Q(4-6月)発表予定
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レナー(LEN) ・・・2018/9/18に2018/11期3Q(6-8月)決算発表の予定
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マーベルテクノロジーグループ(MRVL) ・・・2018/8/21に2019/1期2Q(5-7月)決算発表の予定
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ナイキ(NKE) ・・・2018/9/25に2019/5期1Q(6-8月)の決算発表を予定
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