4/26(水)に米国でトランプ政権の「税制改革案」が発表されました。「法人税率を35%から15%に引き下げる」など意欲的な内容で、実現に懐疑的な見方もあるようですが、政策実現に向けて具体的に動きだしたことはポジティブに評価できるでしょう。そこで、今回は法人税減税が実現した場合に恩恵が大きいと考えられる米国の中小型株に投資するETFをご紹介いたします。
図表1 米国の中小型株に投資するETF(上場投資信託)
取引 | チャート | コード | 銘柄 |
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IJH | iシェアーズ S&P 中型株 ETF(IJH) | ||
IWM | iシェアーズ ラッセル 2000 ETF(IWM) | ||
VB | バンガード スモール キャップ ETF(VB) | ||
DON | ウィズダムツリー米国中型株配当ファンド(DON) | ||
TNA | Direxion デイリー米国小型株ブル3倍 ETF(TNA) |
※SBI証券が作成
4/26(水)にムニューシン米財務長官は、税制改革案「中核となる基本方針」として以下を発表しました。
・法人税率を現行の35%から15%に引き下げる。
・海外還流利益の税率を現行の35%から引き下げる。
・所得税の税率区分を現行の7区分から3区分(35%、15%、10%)とする。
減税の財源については、「減税による経済成長に伴う歳入増と税控除の見直し」をあげるにとどまり、成立までには紆余曲折が予想されます。しかし、議論を進めるための「たたき台」を提示したと位置付けることができ、政策実現に向けた前進とポジティブに評価できるでしょう。
この政策によって、米国株は買いやすくなると見込まれます。
現在S&P500指数基準で、17年12月期の予想EPSは129.10ポイント、予想PERは18.5倍です。この18.5倍というのは、比較的高い水準と言え、米国株の上値を抑える要因になっていると見られます。
しかし、法人税減税が現実のものとなれば、市場が予想するEPSはその瞬間に10%増えるとか、15%増えるということになります。そうなるとPERの割高感が一気に解消するため、上値を試すことが可能になるでしょう。
今回発表の税制改革案がそのまま実現すると考えている市場参加者はほとんどいないと見られるため、例えば、法人税率が25%に後退して着地したとしても米国株には大きな上昇要因になると期待できるでしょう。
米国事業比率が高い中小企業への恩恵が特に大きく注目できます。米国の大企業はグローバルに展開している場合も多く、海外事業部分では減税の恩恵が受けられないからです。
図表2は、米国の代表的な中小型株指数である「ラッセル2000指数」をS&P500指数と比較しています。トランプ政権の政策への期待がしぼんだ2月から4月上旬にかけては上げ幅を縮めましたが、政策への期待が盛り返しつつあるここ2週間ほどは再び騰勢を強めています。今後税制改革が進展するとともに上昇が期待できそうです。
米国の中小型株に投資するには、幅広い銘柄に分散投資されたETFが格好の投資対象です。
図表1の上から3銘柄は、代表的な中小型株指数に投資するオーソドックスなETFです。それぞれ、「S&P中型株400種指数」、「ラッセル2000指数」、「MSCI・USスモールキャップ1750指数」への連動を目指します。
一方、「ウィズダムツリー米国中型株配当ファンド(DON)」は、組入れ銘柄を配当を支払っている中型銘柄に絞ったETFです。
また、中小型株に強くベットしたい場合には、指数の3倍の値動きを目指す「Direxion デイリー米国小型株ブル3倍 ETF(TNA)」もあります。
ご検討してみてはいかがでしょうか。
図表2 中小型株指数が再び騰勢を強める
注:「ラッセル2000指数」は、「ラッセル3000指数」の時価総額が小さいほうの2000社で構成される株価指数です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成