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4Q(10-12月期)決算速報(現地1/28引け後発表)
イーロン・マスク氏が率いる世界大手のEVメーカーです。同社は、自動車の製造・販売を行う「自動車事業」、自動車関連の「サービス/その他事業」、蓄電などを手がける「エネルギー/バッテリー事業」の3つを主要事業として展開しています。
AI開発でも存在感を発揮しています。自動運転支援システム「フル・セルフ・ドライビング(FSD)」は世界的な注目を集め、ロボタクシーの事業化も着実に進めています。また、人型ロボット「オプティマス」の開発も進んでおり、その発売時期に関心が高まっています。
テスラは2025年11月6日の定時株主総会で、マスクCEOに対する1兆ドル(約150兆円)規模の報酬案を承認しました。報酬の受け取りには複数の高い目標の達成が条件となっており、時価総額の最終目標は8.5兆ドルと、現在の約6倍に相当する水準が求められています。マスク氏の経営手腕が改めて試されることになりそうです。
決算発表後の時間外取引(日本時間10:00時点):439.49ドル(+1.86%)
売上高:249.0億ドル、前年同期比-3%(予想251.11億ドル)×市場予想を下回った
調整後EPS:0.50ドル、前年同期は0.73ドル(予想0.45ドル)○市場予想を上回った
フリーキャッシュフロー:14.2億ドル、前年同期比-30%、前四半期は39.9億ドル(予想15.9億ドル)×市場予想を下回った
粗利益率:20.1%、前年同期は+16.3%(予想17.1%)○市場予想を上回った
CAPEX(資本的支出):23.9億ドル、前年同期は27.8億ドル(予想28.3億ドル)市場予想を下回った
売上高は市場予想を下回りました。
引け後の取引では、マスクCEOが率いる新興のAI開発企業の「xAI」への投資や、設備投資の拡充などが材料視され株価は上下しました
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
◆自動車事業
自動車事業売上高:176.93億ドル、前年同期比-11%(予想177.3億ドル)×市場予想を下回った
自動車販売台数:418,227台、前年同期比-16%(予想427,988台)×市場予想を下回った
規制クレジット売却収入:5.42億ドル、前年同期比-22%(予想3.29億ドル)○市場予想を上回った
◆サービス・その他事業
同事業売上高:33.7億ドル、前年同期比+18%(予想33.6億ドル)△市場予想とほぼ一致した
◆エネルギー事業(Energy Generation & Storage)
同事業売上高:38.4億ドル、前年同期比+25%(予想37.7億ドル)○市場予想を上回った
総電力販売量:14.2ギガ・ワット・アワー、前年同期比+29%(予想13.9ギガ・ワット・アワー)○市場予想を上回った
メガパックの記録的な導入に牽引され、四半期ベースで過去最高のエネルギー貯蔵設備導入を達成
◆財務
現金・現金同等物・投資:440.6億ドル、前年同期比+21%
xAIのシリーズE優先株を約20億ドルで取得する契約を締結
経営陣の主なコメント
(マスクCEO)今年の重点施策は、FSDによる車両の自律性(完全自動運転)の大幅な向上、ヒューマノイドロボット「Optimus」の量産開始だ
自動運転・ロボタクシーについては、オースティンで監視モニターなしの運行を開始した
自律性は月次で急速に改善、年末までに米国の25〜50%、数十都市で展開を見込む
将来的には車両オーナーが収益を得られる仕組みを構築する
エネルギー事業は、高成長を継続している。太陽光+バッテリーがAIデータセンターの鍵だ。年間100GW規模の太陽電池生産を目指す
Optimusは、近く「Optimus 3」を発表予定。人の動作観察で学習する汎用ロボットで、生産立ち上げは時間を要するが量産化は確信している
モデルSとXは段階的に生産終了し、フリーモント工場はOptimusの量産拠点へ転換、年間100万台規模のロボット生産を目指す
ヒューマノイドロボット分野で最大の競争相手は中国。製造業の量産力とAIの両面で強力なライバルだ。中国以外で目立つ存在はいない
- 技術的な課題は主に3点。人間並みに器用な手を備える、現実世界で機能するAI、そして量産体制の確立。テスラはこの3要素をすべて備える唯一の企業で、Optimusで先行できると考えている
我々が真に目指しているのは、自律走行車やヒューマノイドロボットの大規模展開、そして地政学的リスクに対処すること
地政学的リスクに関しては、世の中には多くの企業が対策を怠っているように思う。ただ現実逃避をし、何も悪いことが起こらないことを祈るだけ。私はより現実的に考えている
(タネジャCFO)設備投資の拡大について
年内に約6つの工場で生産開始予定のため、大規模な設備投資を実施する
Optimus関連投資は、量産拡大に向け、計算資源(コンピューティング)とAIトレーニングへ重点投資を行う
既存工場の生産能力拡張にも取り組まねばならない。継続的に資金を投入する
設備投資は約200億ドル見込む。その中に、太陽光発電工場や半導体工場への投資は含まない
資金調達は、手元の現金・投資残高(約440億ドル)を活用しつつ、ロボタクシー事業では銀行からの融資も選択肢であろう
今後、資金調達に関して、借入の拡大、また他の方法か、最適な資金調達方法を引き続き検討している
決算を受けたマーケットの反応
4Qは減収・減益決算となりました。現在の主力事業である自動車事業は、中国企業との競争激化などを背景に、やや軟調な結果となりました。一方で、エネルギー事業は堅調に成長しており、メガパックの記録的な導入に牽引され、四半期ベースで過去最高のエネルギー貯蔵設備導入量を達成しました。フリーキャッシュ・フローも回復しており、現金・現金同等物および投資残高は440億ドルと、盤石な財務基盤を維持しています。
一方、投資家の関心は足元の業績よりも、オプティマス、ロボタクシー、AI事業の成長性に向いています。マスクCEOは年初に、「今年の重点施策は、FSDによる車両の自律性(完全自動運転)の大幅な向上と、ヒューマノイドロボット『Optimus』の量産開始である」と表明し、200億ドル規模の設備投資計画を発表しました。オプティマスについては、将来的に年間1億台規模の生産・普及を見込んでおり、またFSDが本格展開されれば、他社へのライセンス提供を通じて、テスラがソフトウェア企業(高収益型事業)へ変貌する可能性を指摘する声もあります。
昨年の株主総会では、1兆ドル規模とされる報酬案が承認されており、マスクCEOの長期的な経営コミットメントにも注目が集まります。加えて、今年6月には、同氏がCEOを務める「スペースX」のIPO計画が報じられており、マスク氏を取り巻く動きは一段と活発化しています。目先の業績以上に、マスク氏が描くAI・ロボティクス主導の長期ビジョンこそが、今後のテスラ評価の最大の焦点となりそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:409.17ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の3.38
最低投資金額:約66,100円(1/28終値、1ドル153円換算)