3Q(7-9月)決算速報(現地11/3引け後発表)
2003年に創業したビッグデータ分析などのソフトウェアを提供する企業です。同社は4つのプラットフォームを事業の柱とします。主に政府や米国防総省など公的機関向けの「Gotham(ゴッサム)」、民間向けに組織のデータを一元的に扱うオペレーティングシステムを提供する「Foundry(ファウンドリー)」、AIを活用しゴッサムやファウンドリーを統合する「AIP(Palantir Artificial Intelligence Platform)」、そして開発・セキュリティ・運用などを手掛ける「Apollo(アポロ)」です。
パランティアはAIを活用したソフトウェア等により、政府・西側諸国の国防当局および民間企業に意思決定・業務効率化を支援するサービスを提供しています。AIを駆使し、現実の課題解決に貢献。実効性と成果をもたらすイノベーターとして際立つ存在です。
決算発後の時間外取引(日本時間9:00時点):198.85ドル(-4.02%)
売上高:11.8億ドル、前年同期比+63%(予想10.9億ドル)〇市場予想を上回った
調整後EPS:0.21ドル、前年同期は0.10ドル(予想0.17ドル)〇市場予想を上回った
調整後フリー・キャッシュフロー:5.40億ドル、前年同期比+24%(予想4.35億ドル)〇市場予想を大きく上回った
4Q会社見通し
売上高見通し:13.27~13.31億ドル、(予想11.9億ドル)〇市場予想を大きく上回った
調整後営業利益見通し:6.95~6.99億ドル(予想5.75億ドル)〇市場予想を大きく上回った
通期会社見通し
売上高見通し:43.96~44.0億ドル、従来の41.4~41.5億ドルから上方修正(予想41.7億ドル)〇市場予想を大きく上回った
調整後営業利益見通し:21.51~21.55億ドル、従来の19.1~19.2億ドルから上方修正(予想19.3億ドル)〇市場予想を大きく上回った
調整後フリーキャッシュフロー見通し:19~21億ドル、従来の18~20億ドルから上方修正(予想18.4億ドル)〇市場予想を大きく上回った
3Q実績値、4Qおよび通期の会社見通しの売上高、利益で市場予想を上回る満点決算
しかし引け後の取引で株価は一時急上昇するも、じきに売りに押され約4%安で取引を終えた
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
政府向け売上高:6.33億ドル、前年同期比+55%(予想5.99億ドル)〇市場予想を上回った
民間向け売上高:5.48億ドル、前年同期比+73%(予想4.91億ドル)〇市場予想を上回った
顧客数:911社、前年同期比+43%(予想902社)〇市場予想を上回った
米国民間向け好調。同売上高は前年同期比+121%、前四半期比で+29%
100万ドル以上の契約を204件(157)、500万ドル以上を91件(66)、1,000万ドル以上を53件(42)それぞれ成約(カッコ内は前四半期、全て増加)
米国民間向けRDV(未計上契約残高)は前年同期比+199%、前四半期比で+30%の36億ドル
3Qの*40%ルールは114%に達した(2Qは94%)
エヌビディアと協業。パランティアのAIPを活用しDecision Intelligence(企業向け意思決定)を強化。より高速化に貢献
The Nuclear Companyと協業。AIを活用し米国原子力発電事業の世界的地位向上に取組む
40%ルール:増収率+調整後営業利益率。ソフトウェア企業やベンチャー企業へ投資する際の指標の一つ。40%が優良企業の目安となる
経営陣の主なコメント
- 米国民間向け好調。売上高は前年同期比121%増、前の四半期比で29%増。顧客数は530社で前年同期比65%増
- 企業全体での導入が進み、CEO主導のAI変革が加速していることは注目に値しよう
- TWG Globalのトーマス・タル氏は(パランティアAIサービス導入に関して)「かつては競争優位性だったが、今では競争上必須条件となっている。AIをコア事業に組み込めない企業は、導入企業に後れを取るだろう」と述べた
米陸軍はファウンドリとAIPを基盤とする陸軍データプラットフォームである「Army Vantage」への統合、一元化を指示すると公表した
これは単なる技術的な決定にとどまらず、データ主導の意思決定を可能にする革新的決定であり、米陸軍を世界で最も強力な存在として保ち続けるデータ主導の意思決定を支援するものだ
陸軍はレガシーシステムを迅速に廃止、かつ将来の戦力、コンセプト、システムへの投資拡大が可能になる
- (アレックス・カープCEO)米国の商業部門が好調。前年同期比100%超の売上高を達成、米国全体でも前年同期比77%増の売上高を達成した
- 主力地域の一つである欧州でのビジネスが活発でないながらも(好業績を)達成できた
- 米軍、米海兵隊や諜報機関をサポートしながら、米国労働者にも価値を還元している。営業部隊を減らしつつ収益拡大、顧客のビジネスに深く入り込むことで成果を得ている
- 当社のビジネスで、制度設計やAIによるGDP成長の恩恵を誰が受けるべきかという問いを投げかけている。エリート層にとどまらず、一般的な勤労者が成長に参加できる社会の重要性を訴えている
決算を受けたマーケットの反応
3Q決算も驚異的。米国事業は絶好調で、特に民間向けは売上高が前年同期比121%増、前四半期比29%増と大きく伸長。顧客数は530社に達し、前年同期比65%増と成長を牽引しました。
同社がここ数年積み上げてきた実績が信頼につながり、既存契約企業は契約内容を拡大、未導入企業は新規契約へと進む流れが加速しています。また、カンファレンス・コールでAI導入はCEO主導のプロジェクトとして最優先で取り組まれている様子がうかがえました。
一方で、株価はやや冷静な反応に。もともと期待値が高く(予想PER319倍)、株式分割などの思惑も先行していたため、決算発表後の引け後取引では売りが先行しました。今回の決算は「驚くことに慣れた投資家」を満足させるには至らなかったようです。
とはいえ、業績面では好調維持、加速している同社。期待の株式分割があるのか、また新たなカタリスト(株価材料)が発表されるのか、パランティアからは目が離せない展開が続きそうです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:157.64ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の3.31
最低投資金額:約32,000円(11/3終値、1ドル154.30円換算)