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2Q(4-6月期)決算速報(現地7/23引け後発表)
イーロン・マスク氏が率いるEV自動車の世界大手。同社は、自動車の製造販売を行う「自動車事業」、自動車に関連する「サービス/その他事業」および蓄電などを手がける「エネルギー/バッテリー事業」を有する。
AI開発でも存在感を発揮。フル・セルフ・ドライビング(FSD:自動運転サポート)では世界の注目を集め、ロボタクシーの事業化を目指す。人型ロボット「オプティマス」は開発、発売に期待が高まる。一方で、マスク氏の米国政治への注力はCEOの職務がおろそかになるとの懸念を招く。
決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):317.80ドル(-4.44%)
売上高:225.0億ドル、前年同期比-12%(予想226.4億ドル)×市場予想を下回った
調整後EPS:0.40ドル、前年同期は0.52ドル(予想0.42ドル)×市場予想を下回った
フリーキャッシュフロー:1.46億ドル、前年同期比-89%、前四半期は6.6億ドル(予想7.6億ドル)×市場予想を大幅に下回った
粗利益率:17.2%、前年同期は+18%(予想16.5%)×市場予想を下回った
CAPEX(資本的支出):23.9億ドル、前年同期は22.7億ドル(予想24.3億ドル)市場予想を下回った
売上高、調整後EPSやフリーキャッシュフローなど主要データは市場予想を下回りました
加えて、カンファレンス・コールでマスク氏の業績見通し「今後数四半期厳しい」発言をうけ、引け後の取引で4.4%下落しました
引け後の時間外取引のチャート
決算のポイント
◆自動車事業
自動車事業売上高:166.6億ドル、前年同期比-12%(予想163.7億ドル)○市場予想を上回った
自動車販売台数:373,728台、前年同期比-16%(予想390,412台)×市場予想を下回った
規制クレジット売却収入:4.39億ドル、前年同期比-51%(予想6.48億ドル)×市場予想を大きく下回った
◆サービス・その他事業
同事業売上高:30.5億ドル、前年同期比+17%(予想29.2億ドル)○市場予想を上回った
◆エネルギー事業(Energy Generation & Storage)
同事業売上高:27.9億ドル、前年同期比-7%(予想32.0億ドル)×市場予想を大幅に下回った
総電力販売量:9.6ギガ・ワット・アワー、前年同期比2%(予想10.1ギガ・ワット・アワー)×市場予想を下回った
◆財務
現金・現金同等物:367.8億ドル、前年同期比+151%(予想168.0億ドル)〇市場予想を大きく上回った
経営陣の主なコメント
25年Q2はテスラにとって歴史的な転換点となった。電気自動車と再生可能エネルギーのリーダーから、AI、ロボティクス、関連サービスの分野にまで拡大がはじまった
6月にはテキサス州オースティンで初のロボタクシーサービスを開始。サービスは限定的だが、カメラのみの構成で世界中の数百万台の車両から収集したデータで訓練された、ニューラルネットワークによる自律走行技術により、安全性向上、ネットワークの迅速な拡大、収益性の改善が可能になると考えている
エネルギー事業の重要性はこれまで以上に高まっている。クリーンで信頼性の高いエネルギーの供給は、経済成長とAI製品・サービスの開発・商業化に不可欠だろう
米国電力網の持続的な発電出力は約1テラワットだが、平均使用量は0.5テラワット未満だ。これにバッテリーを追加すれば発電所を24時間365日フル稼働させることが可能だ。バッテリーだけで米国の年間発電量を2倍以上に増やすことができる。これは実に画期的なことだ
オプティマスは驚異的なデザインへ進化中。現在はバージョン2〜2.5といえ、バージョン3は精巧なデザインで、史上最高の製品になろう
おそらく年末にプロトタイプが完成、来年には量産体制に入る予定。可能な限り迅速にオプティマスの生産を拡大、年間100万台を早期に達成したい。5年以内に可能と推測している
(米国でIRA購入税額控除がQ4から廃止されるとの質問に対し)米国で多くの優遇措置が失われるという移行期にある。世界中で優遇措置があるが、米国では廃止予定だ。(設備投資は減額しない見込みで)今後数四半期、業績は厳しい状況になる可能性がある
我々は約束したことは必ず成し遂げてきた。常に期日を守ったわけではないが、必ずやり遂げたことは誇りだ。テスラチームの進歩は実に素晴らしい。テスラは自動運転とヒューマノイドロボットにおいて、優れたパフォーマンスを上げると確信している。テスラは世界で最も価値のある企業になるだろう
決算を受けたマーケットの反応
2四半期連続で減収・減益となり、売上高や調整後EPS(1株当たり利益)、フリーキャッシュフロー、自動車販売台数など、主要な指標が市場予想を下回りました。マスクCEOの政治的な発言や関与が、欧州では不買運動につながり、中国では競争の激化によって販売不振を招いています。さらに、中古車価格の下落などもあり、ブランド価値の低下や事業への悪影響が懸念されています。
とはいえ、同社の株価は「マスク・プレミアム」とも言える、マスク氏への期待感によって支えられている面があります。今回の決算発表でも、ロボタクシーサービスの開始や人型ロボット「オプティマス」の可能性について言及し、AI分野での潜在力や事業への強いコミットメントを示しました。政治的な関与には懸念があるものの、株主のマスク氏への「忠誠心」が揺るがない限り、株価が大きく調整される可能性は低いかもしれません。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:397.92ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の3.46
同、相関チャート上位の同業はルーシッド・グループ(LCID)、フォード(F)、ゼネラル・モーターズ(GM)
最低投資金額:約48,720円(7/23終値、1ドル146.5円換算)