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1Q決算速報(現地5/1引け後発表)
世界最大級のEコマース企業。クラウド・ビジネスでもアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)で業界首位を走る。ジェフ・ベゾス氏からCEOのバトンを受け継いだアンディ・ジャシー氏の路線は、売上成長と合わせて利益も追及、創業者とは一線を画す。AIでは1,000億ドルの投資を打出し、データセンター、自社製半導体開発、AI関連サービスの充実化を図ります。
決算発表後の時間外取引(日本時間9:00時点):184.14ドル(-3.19%)
売上高:1,556.7億ドル、前年同期比+8.6%(予想1,551.6億ドル)△市場予想とほぼ一致した
EPS:1.59ドル、前年同期は0.98ドル(予想1.36ドル)〇市場予想を上回った
2Q会社見通し
売上高見通し:1,590億〜1,640億ドル(予想1,614.2億ドル)△中間値が市場予想とほぼ一致した
営業利益見通し:130億〜175億ドル(予想178.2億ドル)×市場予想を下回った
2Qの売上と営業利益の会社見通しが冴えなかったことや関税の影響による不透明感から引け後の株価はもたついたようです
引け後の時間外取引のチャート

決算のポイント
◆事業別売上高等
オンライン売上:574.1億ドル、前年同期比+5%(予想568.5億ドル)〇市場予想を上回った
実店舗売上:55.3億ドル、前年同期比+6.4%(予想54.1億ドル)〇市場予想を上回った
サブスクリプション売上:117.2億ドル、前年同期比+9.3%(予想116.5億ドル)〇市場予想を上回った
広告サービス売上:139.2億ドル、前年同期比+17.7%(予想137.7億ドル)〇市場予想を上回った
サードパーティー・セラー売上高:365.1億ドル、前年同期比+5.5%(予想369.8億ドル)×市場予想を下回った
◆アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)
売上高:292.7億ドル、前年同期比+17%(予想293.6億ドル)×市場予想を下回った
◆営業費用
輸送コスト:225.0億ドル、前年同期比+3.0%(予想230.4億ドル)〇市場予想より少なかった
経営陣の主なコメント
過去数年にわたり当社はフルフィルメント(EC配送ネットワーク)の効率化に取組んだ。重要な転換点となったのは、全国規模でネットワークを地域ハブ化したことだ。顧客の住まいに近い場所に商品を在庫することで、多くの注文を迅速かつ低コストで配送可能
1Qには、グローバルなプライム会員に過去最速の配送を実現、配送速度の記録を更新した。また、当日または翌日配送の件数は当社史上最高となった
関税引上げによる懸念はあるものの、需要の減少はみられない。アマゾンだけが関税の影響を受けるわけでは無い。買い溜めはあるようだ
AWSはあらゆる規模の組織のクラウド化を加速させ、インフラの近代化、コスト削減、イノベーションを支援し続けている。Adobe、Uber、NASDAQ、Ericsson、富士通、Cargill、三菱電機、General Dynamics Information Technology、GE Vernova、Booz Allen Hamilton、NextEra Energy、Publicis Sapient、Elastic、Netsmartなど、多くの企業と契約を締結した
世界のIT支出の85%以上が依然としてオンプレミス(自社内端末)であり、クラウドではない。この状況は今後10〜20年で逆転する可能性が高いとみている
(AIアシスタントの)*Alexa+は従来のサービスと異なり、質問に答えるだけでなく実際に行動を起こすことができる。現在10万人以上のユーザーがAlexa+を利用しており、反応は非常に好意的だ
*Alexa+(アレクサ・プラス):アマゾンが発表した生成AI活用の次世代型。従来のアレクサよりも自然な会話が可能、より複雑なタスクをこなせる「AIエージェント機能」が追加された
決算を受けたマーケットの反応
EC企業である同社は、サードパーティー・セラー(出品企業)の取引も大きく、関税政策による懸念がのしかかる。一方で、近年注力した配送の効率化は配送車輛の自動運転等が進めば、競争力はさらに高まると期待されます。AWSや広告事業、AIのアレクサ+など成長事業も多数あり、株価調整局面はエントリーのチャンスかもしれません。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:245.96ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の4.82
同、相関チャート上位の同業はシー(SE)、リアルリアル(REAL)、エッツィ(ETSY)
最低投資金額:約27,600円(5/1終値、1ドル145円換算)