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2Q(1-3月)決算速報(現地5/1引け後発表)
時価総額約3.19兆ドル(4/30現在)で世界最大級の株式会社。売上高の半分近くをiPhoneが占める。同社の稼働端末は全世界で23.5億台に達し過去最高水準にある。この端末を武器にアプリやミュージック、決済などを提供するサービス事業が成長。拡張現実(AR)の世界を実現するビジョン・プロが大型商品に成長すると期待される。米国全体がトランプ政権の関税政策で揺れるなか、政府は4/11にスマートフォンやコンピューター、その他の電子機器を上乗せ関税の対象から除外すると発表。当座の危機は回避されたが予断を許さない状況が続きそうだ。
決算発後の時間外取引(日本時間9:00時点):205.25ドル(-3.78%)
売上高:953.6億ドル、前年同期比+5.1%(予想945.9億ドル)〇市場予想を上回った
EPS:1.65ドル、前年同期は1.53ドル(予想1.62ドル)〇市場予想を上回った
売上高総利益率:47.05%(予想46.73%)〇市場予想を上回った
実績値は売上・EPSとも市場予想を上回り好調も、引け後の取引で株価は小幅安。カンファレンスコールで、6月期以降の関税の影響が不透明との発言が重しとなったようです
引け後の時間外取引のチャート

決算のポイント
◆製品別売上高
iPhone 468.4億ドル、前年同期比+1.9%(予想459.4億ドル)〇市場予想を上回った
Mac 79.5億ドル、前年同期比+6.7%(予想77.5億ドル)〇市場予想を上回った
iPad 64.0億ドル、前年同期比+15.0%(予想61.2億ドル)〇市場予想を上回った
ウェアラブル・家電・アクセサリー75.2億ドル、前年同期比-4.9%(予想80.5億ドル)x市場予想を下回った
◆サービス収入
266.5億ドル、前年同期比+11.6%(予想267.2億ドル)x市場予想を下回った
◆地域別売上高
北米:403.2億ドル、前年同期比+8.2%(予想400.3億ドル)〇市場予想を上回った
欧州:244.5億ドル、前年同期比+1.4%(予想246.5億ドル)x市場予想を下回った
大中華圏:160.2億ドル、前年同期比-2.3%(予想168.3億ドル)x市場予想を下回った
日本:73.0億ドル、前年同期比+16.5%(予想64.7億ドル)〇市場予想を上回った
その他アジア太平洋:72.9億ドル、前年同期比+8.4%(予想74.4億ドル)x市場予想を下回った
◆財務
現金・現金同等物:281.6億ドル、前年同期比-13.9%(予想327.3億ドル)x市場予想を大きく下回った
1,000億ドルの自社株買いを承認
経営陣の主なコメント
2Qは好調。売上高は会社予想の上限に達し、調整後EPSは2Qで過去最高。サービス部門が特に好調で、売上高は過去最高の266億ドル、前年比で12%増。またアップルTVの視聴者数も過去最高を更新した。今夏にはブラッド・ピット主演の映画「F-1」も公開予定だ
アップル・ビジョン・プロ(*ゴーグル型の空間コンピュータ)では最新没入型ビデオ「メタリカ」でコンサート体験を全く新しいレベルへと引き上げた。その迫力は実際に見なければ信じられないだろう。ビジョンOS 2.4ではアップル・インテリジェンス(*AIアシスタント機能)が提供される
- アクティブ・ベースのインストールは全ての製品および地域で過去最高。有料サブスクリプションは二桁成長。当社のプラットフォーム上で展開されるサービス全体で10億を超える。アップル・ペイは簡単かつ安全、そしてプライバシーに配慮した決済ソリューションとして顧客をサポート、アクティブユーザーは前年比二桁増となり、過去最高だった
- (関税の影響に関して)6月期は米国で販売されるiPhoneの大部分はインド生産とし、iPad、Mac、Apple Watch、AirPodsなどはベトナムでの生産を想定している。米国外で販売される製品の大部分は引き続き中国生産となろう。関税政策が変更されない場合、コストに対する影響は9億ドルと見込んでいる
中国向けの売上高は2%減だった。為替変動の影響を除くとほぼ横ばいで、11%減だった前四半期(12月期)と比べるとかなり改善した
決算を受けたマーケットの反応
2Qでは売上過去最高。サービス事業が好調で、全世界で23億台を上回るとみられる端末を背景にプラットフォーマーとしての実力を見せつけます。関税によるコスト増の影響は9億ドル程度と比較的小さく、中国の販売低下も改善傾向がみられました。1,000億ドルの自社株買いを発表し、株主還元にも余念がありません。
同社の予想PERは29.3倍。一方、S&P500指数の予想PERは21.1倍。iPhoneとサービス事業頼みの状況が続く同社ですがバリュエーション上は割高感も感じられません。次の大型商品の登場が待たれるところです。
Bloombergがまとめたアナリストの目標株価平均:230.66ドル
同、アナリスト・レーティングは5段階評価の4.05
同、相関チャート上位の同業は*宏達国際電子[HTC]、サムスン電子(005930)
最低投資金額:約31,000円(5/1終値、1ドル154円換算)
- 宏達国際電子は台湾上場企業で当社取扱外