米国株の当社顧客保有人数上位50で、4/15(月)〜4/17(水)に1-3月期決算を発表したシティグループ(C)、バンク オブ アメリカ(BAC)、ジョンソン & ジョンソン(JNJ)、ネットフリックス(NFLX)、IBM(IBM)、ペプシコ(PEP)の決算速報です。
銘柄名(コード) 決算発表日、株価反応日 株価、前日比、今期予想EPS、アナリスト目標株価 |
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直近実績 |
前年同期比 |
予想乖離 |
前四半期の 前年同期比 |
シティグループ(C) 4/15、4/15 |
売上(億ドル) |
186 |
-2% |
0% |
-1% |
67.38ドル、-0.1%、7.56ドル、78.35ドル |
EPS(ドル) |
1.87 |
11% |
4% |
34% |
【費用削減で増益を確保】
- 1-3月期決算は、売上が機関投資家向けの株式関連収入や本社部門の減少で前年同期比2%減収となるも、営業費用を同3%削減して純利益は同2%増を確保しました。発行株式数の同9%削減が効いてEPSは同11%増えています。
- グローバル・コンシューマー・バンキング部門は、売上が前年同期比横ばいに対して営業費用を同1%削減して同4%増益でした。インスティテューショナル・クライアント・グループ部門は、投資銀行部門が好調ながら株式業務収入の減少が相殺して減収、経費削減により利益は横ばいを確保しました。同部門の主要業務別には、トレジャリー&ソリューション業務が前年同期比6%増、投資銀行業務が同20%増、プライベートバンク業務が同3%減、債券業務が同1%増、株式業務が同24%減でした。
- 厳しい環境のなか、まずまずの決算と言えるでしょう。19年3月末の1株当たり純資産は77.09ドル、無形資産を除くベースでは65.55ドルで、18年12月末からそれぞれ2.04ドル、1.76ドル増加しています。
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バンク オブ アメリカ(BAC) 4/16、4/16 |
売上(億ドル) |
232 |
0% |
0% |
10% |
29.88ドル、+0.1%、2.86ドル、32.95ドル |
EPS(ドル) |
0.71 |
15% |
8% |
49% |
【市場関連の減益を好調な消費者向け事業でカバー】
- 1-3月期決算は、10-12月期から減速するものの、グローバル・マーケッツ部門の減益を好調なコンシューマー・バンキング部門でカバーして増益を確保しています。純金利収入は利ざや拡大と貸出増を背景に前年同期比5%増、非金利収入は同4%減です。平均預金残高は前年同期比5%増(10-12月期は同4%増)、平均貸出残高は同4%増(10-12月期は同3%増)と拡大が続いています。
- コンシューマー・バンキング部門は、主に純金利収入の増加が牽引して売上が同7%増、純利益は同26%増、グローバル・ウェルス&インベストメント・マネジメント部門は運用手数料の減少で売上が同1%減となるも、営業費用の減少で純利益は同14%増、グローバル・バンキング部門は貸出残高が前年同期比5%増、投資銀行フィーは同7%減で、純利益は同2%増でした。グローバル・マーケッツ部門はセールス&トレーディング収入が前年同期比17%減(債券等収入が同8%減、株式関連が同22%減)となって純利益は同26%減でした。
- 利益の経常性が高い消費者向け事業の好調は高く評価されると期待されます。
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ジョンソン & ジョンソン(JNJ) 4/16、4/16 |
売上(億ドル) |
200 |
0% |
2% |
1% |
138.02ドル、+1.1%、8.60ドル、147.53ドル |
EPS(ドル) |
2.10 |
2% |
3% |
13% |
【医薬品部門が牽引して業績堅調ながら、ベビーパウダーの訴訟が心配】
- 1-3月期の基調売上は前年同期比3.9%増(10-12月期は同5.3%増)と減速ながら引き続き堅調です。ドル高による売上の押し下げや事業売却の影響などで報告ベースの売上は前年同期比0.1%増でした。19年12月期のガイダンスは、基調売上の伸び率が前年比2.0〜3.0%から同2.5〜3.5%へ、調整後EPSが8.50〜8.65ドルから8.53〜8.63ドルへ引き上げられています。
- 1-3月期の部門別の売上は、医薬品部門が乾癬治療薬「ステラーラ」、多発性骨髄腫治療薬「DARZALEX」、B細胞性腫瘍の治療薬「IMBRUVICA」の増加などの貢献で前年同期比4.1%増(オーガニックには同7.9%増)、ベビーケア、女性向け用品、傷ケアが不振の消費者部門が同2.4%減(同0.7%増)、糖尿病関連事業の売却が影響した医療用機器部門が同4.6%減(同4.3%増)でした。
- 医療品部門が牽引して業績は堅調です。ただし、同社ベビーパウダーにアスベストが混入していた件に関連する数千件の訴訟を抱え、賠償額が巨額となる可能性がある点には注意が必要です。
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ネットフリックス(NFLX) 4/16、4/17 |
売上(億ドル) |
45.2 |
22% |
0% |
27% |
354.74ドル、-1.3%、3.96ドル、389.93ドル |
EPS(ドル) |
0.76 |
19% |
31% |
-27% |
【新規参入による重大な影響は想定していないと強気】
- 1-3月期の加入者純増(有料会員ベース)は、国内が1.74百万人(ガイダンスは1.6百万人)、海外は7.86百万人(同7.3百万人)と好調でした。4-6月期の加入者純増は5.0百万人(国内0.3百万人、海外4.7百万人)、前年同期比8%減相当で、市場予想の5.3百万人を下回りました。
- 1-3月期の売上の伸び鈍化には、為替による目減りの影響が出ており、この影響を除く売上は同28%増でした。1月に実施した値上げの加入者数への影響は、ほぼ会社が想定した通りで、グロスの新規加入者動向には影響ない一方、既存加入者の解約率には短期的な上昇が見られるとしています。
- アップルとウォルトディズニーが競合する動画サイトの計画を発表したことについては、「これらの新規参入者が私たちの成長に重大な影響を与えるとは考えていない。なぜなら、リニアTV(※)からオン・デマンド・エンターテインメントへの移行は巨大であり、また、提供するコンテンツの性質に違いがあるからだ。各社がコンテンツに投資してサービスを改善すれば、消費者はリニアTVからの移行を続け、皆が成長し続けられると考えている。」「良質なTV番組や映画には巨大な需要があり、ネットフリックスはその需要の小さな部分を満たしているに過ぎない、と考えている。最も成熟した米国市場でも、ストリーミングの視聴時間はTVの総視聴時間の約10%を占めるに過ぎない。他の国やモバイルなど他のデバイスでのシェアはもっと小さく、成長余地は大きい。例えば、Sandvineの調査によると、世界のモバイルインターネットにおけるネットフリックスのシェアは約2%と推定されている(筆者注:トップはYoutubeの37%)。」
※リニアTV:番組の順番を消費者が変えられない、従来型のTV放送を同社は「リニアTV」と呼んでいます。「リニア」は線形のという意味で、例えば「カセットテープ」をイメージすれば分かり易いでしょう。一方、オンデマンドの動画は、ランダムにアクセスできる「CD」のイメージです。カセットテープからCDへのシフトが必然であったように、リニアTVからオンデマンドTVへのシフトは必然であるとの確信があり、コンテンツに巨額の先行投資を行っても将来的には回収可能だ、というのが事業に対する同社の基本的な考え方と見られます。
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IBM(IBM) 4/16、4/17 |
売上(億ドル) |
182 |
-5% |
-1% |
-3% |
139.11ドル、-4.2%、13.91ドル、149.22ドル |
EPS(ドル) |
2.25 |
-8% |
1% |
-6% |
【低落傾向からなかなか抜け出せない】
- 1-3月期はドル高による売上の目減りの影響が大きく、10-12月期よりも売上の減少が大きくなり、また、市場予想を下回りました。営業利益は前年同期比5%減と低調が続いています。19年の業績ガイダンスは、調整後EPSが「少なくとも13.90ドル」(18年実績は13.81ドル)、キャッシュフローが約120億ドルが維持されました。
- 主力部門の売上は、クラウド&コグニティブソフトウェアが50億ドルで前年同期比2%減(為替の影響を除いたベースで同2%増)、グローバル・ビジネス・サービスが41億ドルで同横ばい(同4%増)、グローバル・テクノロジー・サービスが69億ドルで同7%減(同3%減)、システムが13億ドルで同11%減(同9%減)でした。クラウドの売上は、過去12ヵ月で195億ドル、前年比10%増(為替の影響を除いたベースで同12%増)です。
- 企業のITシステムがクラウドにシフトするなかで同社は市場シェアを失う部分があり、低落傾向からなかなか抜け出せません。
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ペプシコ(PEP) 4/17、4/17 |
売上(億ドル) |
129 |
3% |
2% |
0% |
127.01ドル、+3.8%、5.51ドル、122.95ドル |
EPS(ドル) |
0.97 |
1% |
6% |
14% |
【基調売上が前年同期比5%増と好調】
- 同社の第3四半期(3/23(土)までの12週間)決算は、北米のスナック事業が好調で上表のように市場予想を上回りました。為替換算による売上の減少が3%ポイントあり、これを除く基調売上成長率は5.2%でした。
- 部門別売上は、北米のフリトレーが前年同期比6%増、北米のクエーカーが同1%減、北米の飲料が同2%増、南米が同1%増、欧州およびサハラ以南アフリカが同2%増、 アジア・中東・北アフリカが同1%減です。
- 19年のガイダンスは、基調売上が前年比4%増、為替の影響を除くコアEPSは同1%減としています。コアEPSの減少には、前年の資産売却益、今年の実行税率の上昇、事業強化のための投資などを織り込んだものです。為替による目減りの影響を2%ポイント含めた場合、コアEPSは前年比3%減の5.50ドル(前年実績は5.66ドル)を見込んでいます。
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※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成
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