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日本株投資戦略〜どう乗り切る消費増税!増税が追い風となり得る銘柄とは!?〜

2014/3/7
投資調査部 鈴木英之

消費増税と日本経済、駆け込みとその反動は避けられないが・・・・

(1)2014年4月に8%、2015年10月に10%〜社会保障費増大を補う消費税

ご存知の通り、消費税(国税+地方税)の税率が引き上げられます。1997年4月以降の税率は5%でしたが、2014年4月1日より8%に引き上げられます。さらに2015年10月1日からは、税率が10%に引き上げられる予定になっています。後者の引き上げについては、我が国の景気の状態をチェックした上で、安倍政権が2014年末頃までに最終決定するはこびになっています。

消費税の税率を引き上げる最大の目標は、悪化する一方の財政赤字に歯止めをかけ、財政再建の第一歩を踏み出すことにあるとみられます。財務省の調べによると1990年度から2013年度まで、我が国の普通国債残高は571兆円も増えていますが、その要因は、景気の低迷等による税収減が145兆円、歳出増が308兆円と分解されています。そして歳出増のうち、実に191兆円が少子高齢化等を背景とする年金、医療、介護など「社会保障費」の増大によるものとなっています。政府支出の無駄を排除してゆくことも必要ですが、政府の社会保障支出がGDPに占める比率は、1995年度14.7%から2010年度には24.1%と急拡大しています。消費税の税率引き上げは、社会保障費の拡大を背景とする財政バランスの悪化に歯止めをかけることになります。

こうした中、2014年2月28日に総額95.9兆円に達する2014年度の「一般会計予算案」が衆議院を通過しました。これで年度内に同予算案が成立することは確実になりました。予算案の概要は表1に示した通りです。2013年度から14年度にかけ、税収は6.9兆円増える見込みですが、うち、消費税の税率引き上げによる増収分が4.5兆円を占めています。社会保障費も1.4兆円増えていますが、それを補っています。財政の安定化にはほど遠いのが現実ですが、日本経済は財政再建へ向け第一歩を踏み出したとみることが可能です。

図1:我が国の消費税率の推移
我が国の消費税率の推移

財務省データ・報道等をもとにSBI証券が作成。2015年10月の引き上げは最終決定されていない。図中の年月は、税率が変わった日付(いずれも1日実施)を指している。

表1:消費増税と国家予算

2013年度・2014年度の一般会計予算(兆円)

 

2013年度

2014年度

【歳入】

税収

43.1

50.0

その他収入

4.1

4.6

公債金

42.9

41.3

年金特例公債金

2.6

0

【歳出】

国債費

22.2

23.3

基礎的財政支出経費

70.4

72.6

(うち社会保障)

29.1

30.5

【財政規模】

92.6

95.9

前提となる経済状況

 

2012年度

2013年度

2014年度

名目GDP

-0.2%

2.5%

3.3%

実質GDP

0.7%

2.6%

1.4%

消費者物価

-0.3%

0.7%

3.2%

(消費税除く)

-

-

1.2%

失業率

4.3%

3.9%

3.7%

財務省データをもとにSBI証券が作成。予算はいずれも当初見込み額。前提となる経済状況は、2013年度及び2014年度が財務省見込み額。

(2)株式市場の心配は「駆け込み需要」の反動

消費税率の引き上げは、上記の通り国の財政バランス改善に寄与することが最大のメリットとみられます。反面デメリットは、税率引き上げ前の「駆け込み需要」と、税率引き上げ後の反動を通じ、景気悪化に陥るリスクがあることです。

表2は、2013年以降における我が国の実質GDP推移について、実績と予想を示したものです。2014年第1四半期(1〜3月期)は、GDPが前期比(年率)で4.1%増と「駆け込み需要」が想定されていますが、第2四半期(4〜6月期)は同3.9%減と、かなり厳しい反動が予想されています。その後はGDPが緩やかに改善する見込みです。

ただ、市場参加者には前回の消費税率引き上げ(1997年4月)後に、日本経済が大きく混乱したという「トラウマ」があるようです。消費税率引き上げ後一時的な回復はあったものの、再びGDPが悪化し不況色が強まってしまいました。1997年11月には、三洋証券、北海道拓殖銀行、そして山一証券の経営破綻に象徴される金融危機につながってしまいました。この「トラウマ」があるため、今回の消費税率引き上げ後の日本経済について、厳しい見方をする市場参加者も散見されるのが現実になっています。

表2:我が国の実質GDP成長率(前期比・年率)実績と予想

暦年

2013年

2014年

四半期

Q1

Q2

Q3

Q4

Q1

Q2

Q3

Q4

実質GDP

+4.8%

+3.9%

+1.1%

+1.0%

+4.1%

-3.9%

+1.6%

+1.7%

BloombergデータをもとにSBI証券が作成。2013年Q4(10〜12月期)は改定値。2014年Q1(1〜3月期)以降は予想(Bloomberg集計の市場コンセンサス)。2014年3月3日現在。色付き部分は、消費税率引き上げ後の四半期であることを示している。

表3:前回の消費税率引き上げ(1997年4月)後の実質GDP(前期比・年率)

暦年

1997年

1998年

四半期

Q1

Q2

Q3

Q4

Q1

Q2

Q3

Q4

実質GDP

+3.1%

-3.9%

+1.7%

-0.4%

-7.3%

-2.2%

+1.2%

+2.2%

BloombergデータをもとにSBI証券が作成。色付き部分は、消費税率引き上げ後の四半期であることを示している。

消費税増税の「トラウマ」は十分克服可能では?

(1)1997年とは異なるので「消費増税」克服は可能

確かに、消費税率の引き上げは一時的に内需の減退を伴います。まして税率引き上げ直前に駆け込み需要が強まると、将来の需要が先食いされた形になり、税率引き上げ後はその反動が一層きつくなります。

しかし、1997年の経済混乱を、すべて消費税率引き上げが原因とするのも、事実と異なるように思われます。なぜなら、

(1)当時は、バブル崩壊後の不良債権問題が進行中で、1994年頃から金融機関の破綻が増えており、日本経済は既に疲弊していました。

(2)海外では、1997年7月頃からアジア通貨危機が深刻化し、日本経済にも打撃を与えました。97年第3、98年第1、第2四半期と輸出(GDP項目)は、前期比でマイナス成長となっています。

(3)完全失業率は1994年末2.9%、95年末3.3%、96年末3.4%とじわりじわり上昇傾向を辿り、不況色が一層強まっていました。

(4)日経平均株価は、消費税率引き上げが閣議決定された日の翌日である1996年6月26日に高値22,666円を付け、1997年4月1日までに21.2%も下落していました。資産効果など期待できない状態でした。

これに対し、2014年は、アベノミクスによる量的緩和や財政政策の効果が浸透し、曲がりなりにも景気は回復局面となっています。銀行に深刻な不良債権もありません。従って、消費税率の引き上げが今回も、1997年同様に経済の混乱を招くとは言い切れないと思います。

表4:「激動の1997年」の出来事

4月1日

消費税率を3%から5%へ

7月2日

タイバーツが変動相場制に移行

7月2日

(アジア通貨危機が始まる)

9月11日

第2次橋本内閣成立

9月18日

「ヤオハン」が倒産

10月中旬

インドネシアに通貨危機が波及

11月3日

三洋証券が破綻

11月中旬

韓国に通貨危機が波及

11月17日

北海道拓殖銀行が破綻

11月22日

山一証券が破綻

図2:日経平均株価・日足(1996年〜1997年)
日経平均株価・日足(1996年〜1997年)

(2)世界の消費税は日本より高め〜税率引き上げ続くドイツでは景気拡大を維持

日本の消費税に相当する付加価値税は、広く世界で賦課されている税金です。他の直接税のように、追捕が難しくなく、広く平等に課税できる利点があるためです。日本と同様に少子高齢化の問題を抱え、社会保障費を税金でカバーすることを迫られている欧州では20%前後の税率が珍しくありません。海外から見れば日本の消費税は相対的に低く、増税による財政再建の余地は大きいと見られています。消費税率が8%になったからといって、他の国以上に厳しい経済状況になるとは言えないのです。ただ、多くの国で食料品等に軽減税率が適用されており、低所得者層への配慮がなされています。日本でも税率が10%に引き上げられる際には、導入を検討することになりそうです。

無論、多くの国で、消費税率引き上げも珍しいことではありません。表5は、ドイツにおける過去2回の消費税率引き上げと、当時の経済指標がどう推移したかを示したものです。税率引き上げ後、成長率の減速はみられますが、いずれもマイナスにはなっていません。労働市場の改善が続いており、消費が下支えされていることが要因とみられます。現在、我が国の労働市場も改善傾向になっており、増税後も個人消費を下支える役割が期待されます。

東日本大震災で7.8%引き下げられていた公務員給与が、2014年4月から回復されること、住宅ローン減税が強化されること等、政策的な消費・投資引き上げ効果も想定されます。日本経済が今度の消費税率引き上げを克服できる可能性は十分あると考えられます。

図3:主要国の付加価値税(消費税)
主要国の付加価値税(消費税)

各種資料をもとにSBI証券が作成。

表5:ドイツにおける税率引き上げ後の経済

1998年4月1日 消費税率15.0%→16.0%

暦年

1998年

(四半期)

Q1

Q2

Q3

Q4

GDP
(前年比)

+3.3%

+1.4%

+1.4%

+0.6%

失業率

11.6%

11.2%

10.8%

10.7%

2007年1月1日 消費税率16.0%→19.0%

暦年

2006年

2007年

(四半期)

Q4

Q1

Q2

Q3

GDP
(前年比)

+4.9%

+4.4%

+3.5%

+3.3%

失業率

10.1%

9.5%

9.1%

8.8%

BloombergデータをもとにSBI証券が作成。表の色付き部分は、消費税率引き上げ後の四半期と経済指標。

消費税増税後も上昇を期待できる銘柄のタイプは?

1997年4月1日に消費税が引き上げられた後の1ヶ月間、株価上昇率(表のB←A)が大きかった銘柄を紹介すると、表6の通りになります。無論、過去の話であり、現在に直結する訳ではありませんが、いかなるヒントが隠れているでしょうか。

上昇を期待できる銘柄の特徴としては、電気機器や精密などの輸出関連株が多いことです。売上高を計上するのが海外ですので、消費増税による内需の減退を気にしなくて良いことが理由と考えられます。その意味では、時が変わっても、事情は変わりませんので、今回の消費税率引き上げ後も、買われる可能性があります。なお、ここで取り上げられた銘柄が、日経平均株価が高値を付けた1996年6月26日以降、どのくらい騰落していたかを示したのがA←@の部分になります。全般的に大きく下落していた銘柄が多い点も注目です。

ちなみに、1989年4月の消費税率引き上げは、バブル相場のピーク近辺だったこともあり、参考にしにくい面はあります。しかし、税率引き上げ後に上昇率が大きかった銘柄はやはり、輸出関連企業が中心でした。ただし、海運やプラントなども物色対象になっていました。

なお、輸出関連株が有利となる他の理由があります。消費税率が上昇すると「輸出還付金」が増加すると期待されることです。これは、輸出に当てた仕入れに含まれる消費税分を税務署が還付するというもので、輸出比率の高い企業が恩恵を受けやすくなります。2012年度の輸出還付金は合計で2.5兆円あるとの分析もあり、これが消費税8%の時代にはさらに増える計算になります。

従ってソニー(6758)トヨタ自動車(7203)といった電気機器、輸送用機器の典型的な輸出株に加え、住友商事(8053)三菱商事(8058)三井物産(8031)などにもメリットが想定されます。このうち、商社は、予想配当利回りが高い銘柄も多いため、3月末に向け、投資チャンスとなる可能性があります。

なお、表7には、消費増税がむしろ追い風になる企業を参考までにご紹介しました。住宅ローン減税強化では、高級住宅に強い『住宅建設・不動産企業』にスポットを当てています。また、生活防衛意識が高まり、中古品等のリサイクルや、個人対個人の取引が増える可能性があります。

表6:97年4月の消費税率引き上げ後の株価上昇率ベスト20

コード

銘柄

業種

1997/4/30
B

1997/3/31
A

1996/6/26
@

騰落率
B←A

騰落率
A←@

6798

電気機器

600

450

720

33.3%

-37.5%

7729

精密機器

1,590

1,250

1,630

27.2%

-23.3%

4062

電気機器

1,670

1,330

1,050

25.6%

26.7%

8185

小売業

1,580

1,280

2,400

23.4%

-46.7%

8050

精密機器

744

604

952

23.2%

-36.6%

4042

化学

404

330

485

22.4%

-32.0%

6770

電気機器

1,480

1,210

1,340

22.3%

-9.7%

6706

電気機器

864

712

1,120

21.3%

-36.4%

8802

不動産業

1,600

1,320

1,510

21.2%

-12.6%

7958

化学

2,000

1,650

2,440

21.2%

-32.4%

BloombergデータをもとにSBI証券が作成。2014年2月末現在のTOPIX採用銘柄で、1996〜97年の株価データが採取できる企業について、消費税率引き上げ前日の97年3月末から、97年4月末までの株価上昇率が大きい順に並べた。騰落率は過去のデータであり、掲載銘柄の将来株価を示唆するものではない。

表7:消費税率引き上げ後も定性面で期待される企業

コード

銘柄

定性的な理由

1928

2014年4月以降2019年12月末まで、住宅ローンの年末残高の1%、あるいは40万円のいずれか少ない方が、所得税から控除される。収入が高い人に有利。このため、高額住宅は需要が維持される可能性が大きい。

3231

8801

8802

3289

8830

2780

ブランド品を中古で安くの需要に答える

3093

衣料・家具・家電などの中古品を首都圏中心に販売。

3179

中古カメラや高級時計、自動車などの店舗・ネットで販売

3181

東海地方を中心に衣料、服飾雑貨、ホビーなどの中古品。

各種資料よりSBI証券が作成。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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