東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均株価が年初来高値を更新し、ようやく新興市場にも個人投資家を中心に投資資金が集まってきました。
今回の福の神レポートでは、「20万円以下で買える高成長マザーズ銘柄は?」と題して、東証マザーズについて解説し、今後、高成長期待で個人投資家の買いが期待できそうな銘柄をご紹介いたします。また、銘柄ピックアップでは、マザーズ市場で直近最も商いが活発な「そーせいグループ(4565)」の株価動向について取り上げました。
【銘柄ピックアップ】 「そーせいグループ(4565)の株価動向について 」
東証マザーズ指数(図1)、日経ジャスダック平均株価(図2)等、新興市場の株価指数が連日年初来高値を更新しています。
図1:東証マザーズ指数 日足株価チャート(6ヶ月)
図2:日経ジャスダック平均株価 日足株価チャート
(6ヶ月)
先駆して上昇した日経平均株価と比べると大きく出遅れています(図3)。しかし、直近はマザーズ指数が一気に盛り返しています(図4)。
図3:日経平均株価・東証マザーズ指数 比較チャート
(6ヶ月)
図4:日経平均株価・東証マザーズ指数 比較チャート
(3ヶ月)
今回は「マザーズ」、次回は「ジャスダック」に絞り、「市場別の動向」と「今後堅調相場が期待できそうな銘柄」をご紹介いたします。まず今回は、東証マザーズ市場についてです。
はじめに、東証マザーズとはどんな市場なのでしょうか?
東証マザーズ市場とは、東京証券取引所が、新興企業のために上場基準を緩和して開設した新興企業向けの市場です。ベンチャー企業向けに開設されている市場であるため、上場の条件が特徴的です。 東証一部・二部では上場企業の設立後の年数や利益額を重視するのに対して、マザーズでは今後の成長性が重視されます。 現在は赤字であっても、今後成長が見込めるのであれば上場できるのです。
また、上場後10年を経過後、東証一部・二部の上場基準に合わせて指定替えするか、マザーズ上場を継続するかを選択しなければならない、という10年卒業ルール制度があります。
このような市場であるため、東証マザーズに上場している銘柄は、バイオ、ゲーム、ネット、ロボットなどの高成長が期待できる業種の銘柄が数多く上場しています。
今後、高成長が期待できそうな東証マザーズ銘柄を探すためには、どのようにしたらよいのでしょうか?
高成長企業の場合、足元では先行投資負担が重く、利益水準が低かったり減益になったりする企業があります。よって、高成長企業の定義として、売上高が順調に大幅増加(年率20%以上)していることを条件として考えました。しかし、一部のバイオベンチャーなどで足元の売上高が極端に少なく、変化率が極端に大きく出る銘柄もあるので、今期の売上高が10億円以上と予想されている銘柄に絞りました。
【今回の選定条件】
1. 東証マザーズ銘柄
2. 前期・今期・来期の売上高成長率がそれぞれ20%以上であること
3. 今期の売上高が10億円以上であること
上記の条件で抽出されたのが、表1の17銘柄です。
この17銘柄は、年率20%以上の成長を3期連続で達成可能な高成長企業と言えるでしょう。
今後、日経平均株価が頭打ち、保ち合いになれば、高成長期待ができる東証マザーズ銘柄に投資家の注目がより集まりそうです。
表1:高成長東証マザーズ銘柄(今期売上高変化率順)
取引 | チャート | コード | 銘柄名 | 主な 業務内容 |
売上高変化率(%) | 時価 総額 (億円) |
売上高 (億円) |
最低 投資 金額(円) |
||
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前期 | 今期 | 来期 | ||||||||
4585 | UMNファーマ | バイオベンチャー | 1,091.4 | 369.3 | 40.4 | 303 | 52 | 317,000 | ||
7172 | ジャパンインベストメントアドバイザー | 金融コンサル | 101.7 | 91.6 | 49.3 | 186 | 20 | 167,000 | ||
1430 | ファーストコーポレーション | 住宅建設 | 110.1 | 86.5 | 28.4 | 112 | 134 | 397,000 | ||
3686 | ディー・エル・イー | アニメ制作・版権 | 84.9 | 72.2 | 33.3 | 143 | 30 | 86,400 | ||
3053 | ペッパーフードサービス | レストラン | 54.6 | 70.6 | 40 | 91 | 150 | 308,000 | ||
3665 | エニグモ | 各種WEBサイト運営 | 25.3 | 48.8 | 23.5 | 215 | 34 | 100,700 | ||
3911 | Aiming | コンテンツ配信 | 148.6 | 46.2 | 25.8 | 621 | 95 | 189,400 | ||
3678 | メディアドゥ | コンテンツ配信 | 45.6 | 42.4 | 21.7 | 195 | 115 | 200,200 | ||
3915 | テラスカイ | システム開発 | 49.1 | 40.3 | 30.4 | 197 | 23 | 1,430,000 | ||
6094 | フリークアウト | ネット広告 | 49.1 | 39.6 | 33.3 | 142 | 45 | 225,200 | ||
9419 | ワイヤレスゲート | 他通信サービス | 29.1 | 37.3 | 28 | 359 | 125 | 351,500 | ||
3902 | メディカル・データ・ビジョン | 医療・福祉関連システム開発 | 27.5 | 33.3 | 30.8 | 88 | 26 | 767,000 | ||
2497 | ユナイテッド | コンテンツ配信 | 35.3 | 32.1 | 27.3 | 387 | 110 | 163,900 | ||
3299 | ムゲンエステート | 中古住宅販売 | 44.9 | 27.6 | 20 | 302 | 385 | 275,300 | ||
3688 | VOYAGE GROUP | 各種WEBサイト運営 | 52.6 | 23 | 20 | 260 | 185 | 230,200 | ||
3687 | フィックスターズ | システム開発 | 70.3 | 22.5 | 38.9 | 215 | 36 | 327,500 | ||
3445 | RS Technologies | 半導体材料・関連資材 | 31.4 | 20.5 | 32.7 | 143 | 55 | 262,000 |
- ※各種データを元にSBI証券作成。データは2015年5月25日時点。
表1の17銘柄の中から、最低投資金額20万円以下で買える銘柄をピックアップしました。合わせて注目ポイントもご紹介いたします。
銘柄コード |
7172 |
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銘柄名 |
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ポイント |
昨年2014年9月に新規上場した航空機リースが主体の金融ソリューション事業を展開しています。また、M&Aアドバイザリー業務やプライベートエクイティ事業などにも注力しています。ROEが15年12月期予想ベースで48.6%と非常に高く、高収益・高資本効率企業です。 |
銘柄コード |
3686 |
|
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銘柄名 |
||
ポイント |
「スキマ時間に楽しめ、容易に共有できるショート・コンテンツを、短納期かつ低コストで」提供する企業です。世界的大手玩具メーカーであるHasbro社と資本・業務提携契約しています。差別化できるクリエイティブと、斬新なマーケティング企画力を融合させたサービスを武器に、成長分野である動画広告・モバイル広告・インターネット広告等を含む、マーケティング市場を主要な市場として展開しています。同社の代表キャラクター「秘密結社 鷹の爪」は知名度が高いようです。 |
銘柄コード |
3665 |
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銘柄名 |
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ポイント |
海外在住のパーソナルショッパーから世界中のブランド品をお得に購入できるこれまでにない新しいソーシャルショッピングサイトである「BUYMA」がメインビジネスです。世界114カ国に6万人以上の日本人の出品者がおり、世界中のレアな商品が満載です。「BUYMA」が商品代金を仲介する、商品が届いてからの後払い決済が特徴です。円安は大きな逆風ですが、様々な施策により、売上高・利益とも好調に伸びています。 |
銘柄コード |
3911 |
|
---|---|---|
銘柄名 |
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ポイント |
スマホゲームの開発・企画・運営を行っています。収益の柱は、「剣と魔法のログレス〜いにしえの女神」です。PC向けゲームをスマホ向けに移植したものです。PC時代からマーベラスと共同制作して、ゲームを提供しています。中国ポータルサイト大手のテンセント(騰訊)の子会社が大株主で、相互のゲーム配信で合意しています。4月30日発表の第1四半期の決算発表は、好調な内容でした。 |
銘柄コード |
2497 |
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銘柄名 |
||
ポイント |
ベンチャー投資事業から、スマホアプリ開発とネット広告に大きく事業転換した企業です。スマホアプリでは、ホーム画面をデコレーションすることができる「ココッパ」が収益の柱となっています。ネット広告では、RTB対応マーケティングプラットフォームBypass (バイパス)によって、大きな成長が期待できそうです。 |
- ※株価日足チャートは2015年5月29日時点。
銘柄ピックアップ! そーせいグループ(4565)の株価動向について
連日の新高値更新で賑わう東証マザーズ市場において、連日約定代金がトップだったのが、そーせいグループ(4565)です。5月12日から5月25日まで、3回のストップ高を含め10連騰となっています。
上昇の要因は、5月13日引け後に15年3月期連結決算(IFRS基準)と16年3月期業績予想を発表、今期は大幅な増収増益見通しです。16年3月期業績予想は、売上収益が117億3,200万円(前期比3.19倍)、営業利益は58億9,900万円(同5.32倍)と連続最高利益を見込んでいます。この好材料で急騰したようです。
そーせいグループってどんな会社?
元ジェネンテック社長の田村眞一氏が創設した創薬ベンチャーです。創薬ベンチャーとは、新薬を開発し、承認・販売されると大きな収益の可能性があります。しかし、全ての新薬が上手く成功する訳ではないので、開発失敗となる大きなリスクもあります。基本的な収入源としては、承認・販売後の自社で製造・販売する場合の販売収入と、他の製薬会社で製造・販売を行いロイヤリティ収入を得る方法があります。日本の創薬ベンチャーの数多くは、他の製薬会社と契約し、新薬成功の場合、ロイヤリティ収入を得る方法をとっています。
そーせいグループも他の製薬会社と契約しています。その場合、開発に成功しなくても臨床試験のフェーズが進むごとに、マイルストーン収入が入る場合があります。
今回のそーせいグループの好決算は、売上収益では「シーブリ」および「ウルティブロ」のロイヤルティー収入ならびに米国における「NVA237」「QVA149」の承認取得に伴うマイルストーン収入、さらにHeptares社が保有するパイプラインの導出に伴う一時金マイルストーン収入を見込んでいるそうです。
図5:そーせいグループ(4565)株価日足チャート(6ヶ月)
- ※株価日足チャートは2015年5月25日時点。
今後のそーせいグループの株価動向の判断は非常に難しいです。株価指標面では予想PERが48.96倍と既に割高な水準ですが、ようやく実際の収益が出始めた創薬ベンチャーとして、個人投資家の注目を更に集めれば意外な高値水準となる可能性があります。
今後は強弱感が対立するため、今までのような一本調子の上昇相場ではなく、株価が上下に振れる変動率(ボラティリティ)の高い相場が想定されます。
表2は決算発表後のそーせいグループの4本値、出来高、および1日の値幅です。ストップ高張り付きとなった14日以外は、1日の高値と安値の差である値幅が非常に大きいことがお分かりいただけます。
表2:そーせいグループ(4565) 4本値・出来高・値幅
|
始値 |
高値 |
安値 |
終値 |
前日比 |
出来高 |
値幅 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
5月25日 |
6,980 |
7,180 |
6,520 |
7,070 |
490 |
2,604,600 |
660 |
5月22日 |
6,640 |
6,790 |
6,350 |
6,580 |
40 |
2,826,100 |
440 |
5月21日 |
6,000 |
6,860 |
5,980 |
6,540 |
410 |
3,859,100 |
880 |
5月20日 |
6,060 |
6,260 |
5,800 |
6,130 |
570 |
4,264,100 |
460 |
5月19日 |
4,900 |
5,560 |
4,775 |
5,560 |
700 |
3,507,500 |
785 |
5月18日 |
4,995 |
5,340 |
4,715 |
4,860 |
145 |
3,582,400 |
625 |
5月15日 |
4,410 |
4,715 |
4,385 |
4,715 |
700 |
4,398,400 |
330 |
5月14日 |
4,015 |
4,015 |
4,015 |
4,015 |
700 |
168,700 |
0 |
BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
このように1日の値幅が大きな銘柄は、デイトレードのチャンスが大きい銘柄ともいえます。このような場合に使えるのは、日計り信用・HYPER空売りサービスです。
1日の値幅が大きい銘柄でデイトレードを行うには、買いだけでなく、空売りも行えれば収益機会が2倍になります。「買い」「売り」ともに、ポジション作成前に損切り(ロスカット)のポイントを決めるのが良いでしょう。
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