日本を引っ張るグローバルニッチトップ企業ってどんな銘柄? |
株式市場でグローバルニッチトップ企業は、どのように評価されてきたのか? |
GNT上場27銘柄から、割安・好収益を切り口に株価上昇余地のありそうな5銘柄をご紹介! |
日本を引っ張るグローバルニッチトップ企業ってどんな銘柄?
2014年3月17日に、経済産業省が国際市場の開拓に取り組んでいる企業のうち、ニッチ分野で高いシェアを保有し良好な経営を実践している企業を、「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」として初めて選定し、発表しています。選定された企業には未上場企業が多いのですが、上場企業も27社入っています。今後、このGNT企業は「日本再興戦略」(2013年6月閣議決定)に基づき、支援策が措置される予定です。
今回の福の神レポートでは、この「グローバルニッチトップ企業」に着目して、投資戦略を考えます。
図表1:グローバルニッチトップ企業100選企業のうち上場している27銘柄
部門 |
銘柄コード |
銘柄名 |
GNT対象の主な製品・サービスの名称 |
---|---|---|---|
機械・加工部門 |
6118 |
サーボ駆動式プレス機、精密機械プレス |
|
6145 |
精密コイル製造用自動巻線機等 |
||
6217 |
ジェット式(空気圧や水圧により糸を飛ばす)織機 |
||
6312 |
医薬品(錠剤)・食品等向け造粒・コーティング装置 |
||
6315 |
半導体樹脂封止精密金型や装置 |
||
6339 |
鋳造装置のうち生型造型機(鉄を流し込む型を製造) |
||
6349 |
商業用オフセット印刷機及び証券(紙幣)印刷機 |
||
6473 |
(1)電子制御4WDカップリング(2)自動車用歯車式差動制限装置 |
||
6856 |
エンジン排ガス測定装置 |
||
素材・化学部門 |
4027 |
化粧品向けの微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛 |
|
4046 |
有機溶剤フリー、耐環境性のあるダップ樹脂 |
||
4095 |
金属表面処理薬剤 |
||
4099 |
プリント配線板の防錆剤やゴムやエポキシ樹脂等の添加剤等 |
||
4368 |
超高純度コロイダルシリカ、果実酸及びその塩類 |
||
4971 |
パッケージ基板の銅と樹脂との密着を大きく向上させる超粗化剤 |
||
5310 |
等方性黒鉛製品(コーティング黒鉛製品等) |
||
5445 |
高張力綱を活用した溶接を不要とする異形鉄筋 |
||
5631 |
原子炉圧力容器及び発電機用の超大型一体化鍛鋼品 |
||
7826 |
白金族(イリジウム、ルテニウム)を活用した製品 |
||
電気・電子部門 |
4186 |
半導体用フォトレジスト(基盤を焼き付ける薬品) |
|
6859 |
環境試験器(恒温恒湿、冷熱衝撃試験用途など) |
||
6914 |
屋外向け侵入検知センサ |
||
6951 |
透過電子顕微鏡 |
||
消費財・その他部門 |
3569 |
繊維製品の一貫生産ビジネスモデル「ビスコテックス」 |
|
3580 |
繊維改質技術 |
||
7309 |
自転車用変速機関連部品 |
||
8036 |
キャピラリ電気泳動型DNA解析装置 |
経済産業省HPデータより、投資調査部作成。部門は、経済産業省が策定した部門名を記載。
GNT27銘柄を時価総額別に分類
GNT上場27銘柄を時価総額で選別した規模別の銘柄数が、図表2、図表3です。やはり小型銘柄が多いですが、自動車部品のジェイテクト(6473)や自転車部品のシマノ(7309)などの時価総額5,000億円を超える超大型企業も選定されています。
図表2:GNT上場27銘柄 規模別
経済産業省HPデータより、投資調査部作成。
時価総額は、3月24日終値基準。
図表3:GNT上場27銘柄 業種分類(円グラフ)
経済産業省HPデータより、投資調査部作成。
時価総額は、3月24日終値基準。
株式市場でグローバルニッチトップ企業はどのように評価されてきたのか?
GNT上場27銘柄は、どのように株式市場で評価されてきたのかを検証してみましょう。
まずは、今回のアベノミクス相場の開始時期だと考えられる野田前首相が解散宣言を行った2012年11月14日の終値を100(%)としたGNT上場銘柄の部門別平均パフォーマンスとTOPIX(東証株価指数)を、ほぼ4半期ごとに比較したものが、図表4です。
アベノミクス相場のTOPIXの上昇率161%を基準とすると、27銘柄の株価パフォーマンスは12勝13敗2分となっています。株価が4倍高となったメック(4971)など極端に高パフォーマンスをあげた銘柄もありますが、まだまだ株式市場では、評価されていないGNT企業も多いようです。
部門別には、「機械・加工」、「消費財その他」部門が相対的に好調なパフォーマンスでした。逆に、「素材・化学」「電気・電子」部門が不調なパフォーマンスでした。
この結果から考えると、現時点で株式市場では、グローバルニッチトップ企業のすべてに対して、大きな評価をしているとは言い難い状況です。既に、株式市場で評価を受けている企業もあれば、未だ未評価で割安に放置されている企業もあります。未だ評価されていないGNT企業については、今後の政府のGNT企業への支援策次第で、注目を集めることになりそうです。
図表4:GNT上場銘柄の部門別平均パフォーマンスとTOPIX(東証株価指数)の比較
Bloombergデータより投資調査部作成。
現時点のGNT企業について、株式市場が未だ評価していない銘柄、言い換えれば、まだ株価上昇余地のある銘柄を、PER・PBRなどの株価指標面から割安さを基準に選抜し、その上でGNT分野で稼げている証左である「実績ROE」の高い銘柄を選定しました。
図表5がGNT上場27銘柄の個別銘柄の投資指標です。予想配当利回り、予想PER、実績PBRの3つの投資指標が、東証1部全銘柄の平均値よりも割安で、実績ROEの高い順となっています。
図表5:GNT上場27銘柄の各種投資指標
コード |
銘柄名 |
株価 |
実績ROE |
予想PER |
実績PBR |
予想配当利回り |
配当単価 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
6312 |
1,085 |
8.72% |
11.7 |
0.95 |
2.30% |
25 |
|
4046 |
340 |
7.90% |
12.7 |
0.87 |
2.06% |
7 |
|
4027 |
284 |
6.45% |
9.1 |
0.47 |
2.11% |
6 |
|
3569 |
834 |
5.66% |
14.6 |
0.91 |
1.80% |
15 |
|
4186 |
2,186 |
4.48% |
14.8 |
0.74 |
2.20% |
48 |
|
4368 |
2,598 |
8.65% |
8.2 |
0.64 |
1.15% |
30 |
|
4099 |
746 |
8.02% |
11.0 |
0.97 |
1.61% |
12 |
|
6118 |
997 |
7.57% |
15.5 |
1.04 |
2.41% |
24 |
|
6339 |
732 |
7.54% |
15.3 |
0.49 |
1.78% |
13 |
|
6145 |
825 |
5.54% |
17.6 |
0..84 |
3.39% |
28 |
|
6315 |
524 |
4.22% |
59.5 |
0.77 |
1.91% |
10 |
|
6859 |
761 |
4.12% |
16.4 |
0.56 |
2.37% |
18 |
|
3580 |
473 |
4.00% |
34.0 |
0.65 |
2.54% |
12 |
|
6349 |
1,361 |
-1.66% |
10.9 |
0.70 |
1.10% |
15 |
|
6217 |
156 |
-4.65% |
13.2 |
0.66 |
無配 |
無配 |
|
6951 |
371 |
9.61% |
8.6 |
1.81 |
1.35% |
5 |
|
5445 |
426 |
9.42% |
56.8 |
0.60 |
1.64% |
7 |
|
5631 |
453 |
6.35% |
27.1 |
1.20 |
1.10% |
5 |
|
8036 |
2,368 |
4.68% |
17.0 |
1.25 |
0.84% |
20 |
|
5310 |
2,251 |
-0.39% |
42.5 |
0.84 |
0.98% |
22 |
|
7309 |
9,400 |
14.45% |
27.7 |
3.23 |
0.93% |
87 |
|
4095 |
2,221 |
10.69% |
15.2 |
1.44 |
1.13% |
25 |
|
6856 |
3,870 |
8.41% |
21.1 |
1.43 |
1.65% |
64 |
|
6914 |
1,739 |
8.23% |
16.9 |
1.37 |
1.73% |
30 |
|
4971 |
850 |
7.65% |
16.6 |
1.72 |
1.18% |
10 |
|
6473 |
1,513 |
4.03% |
25.9 |
1.30 |
1.06% |
16 |
|
7826 |
2,766 |
-8.48% |
- |
1.45 |
1.45% |
40 |
|
東証1部全銘柄 平均 |
- |
4.64% |
14.9 |
1.28 |
1.76% |
- |
PER、予想配当は東洋経済新報社予想。Bloombergデータより、投資調査部作成。
各指標は2014/3/24時点の株価等をもとに算出。
割安指標(予想PER、実績PBR、予想配当利回り)の3項目が、東証1部全銘柄の平均値より割安な指標数の多い順に掲載。
割安指標が同数の場合は、実績ROEの高い順に掲載。
東証1部全銘柄の平均値
・予想PER :14.9倍
・実績PBR :1.28倍
・予想配当利回り :1.76%
GNT上場27銘柄から、割安・好収益を切り口に株価上昇余地のありそうな5銘柄をご紹介!
図表5の上位5銘柄のポイント、チャートなどをご紹介致します。
銘柄コード |
6312 |
|
---|---|---|
銘柄名 |
||
株価 |
1,085円 |
|
単元株数 |
100株 |
|
予想PER(連) |
11.7倍 |
|
実績PBR(連) |
0.95倍 |
|
予想配当利回り |
2.30% |
|
配当単価 |
25円 |
|
時価総額 |
98億円 |
|
ポイント |
・ GNT対象:医薬品(錠剤)・食品等向け造粒・コーティング装置 ・ 東京都新宿区大久保に本社がある製薬向け造粒・コーティング装置の機械部門と・医薬品添加剤、食品品質保持剤、栄養補助食品などの化成品部門が2本柱の企業です。 ・ 造粒・コーティング装置の国内シェアは約70%とトップシェアを保有しており、アジア、欧州、米国など海外展開も行っています。13年2月期で、海外売上高比率は22%です。 ・ 2014年3月20日に、平成26年2月期連結・個別の業績予想の下方修正を発表しています。その理由としては、機械部門における産業機械向けの不振とアジア市場展開の遅れ、化成品部門においては、一部製品の生産調整や円安による輸入諸原料の価格上昇等の影響です。また、同時に100株保有(投資金額 約11万円)で1.000円の株主優待制度の導入を発表しています。8月末が権利確定日です。 ・ 2013年5月10日に2.300円の高値を付けてからは、ほぼ右肩下がりの軟調展開が続いており、業績の下方修正を発表した。2014年3月20日に安値1.050円と高値から半値以下まで大きく下げていました。目先は、業績の下方修正が悪材料出尽くしとなって、戻りを試す可能性が高そうです。 |
銘柄コード |
4046 |
|
---|---|---|
銘柄名 |
||
株価 |
340円 |
|
単元株数 |
1,000株 |
|
予想PER(連) |
12.7倍 |
|
実績PBR(連) |
0.87倍 |
|
予想配当利回り |
2.06% |
|
配当単価 |
7円 |
|
時価総額 |
370億円 |
|
ポイント |
・ GNT対象:有機溶剤フリー、耐環境性のあるダップ樹脂 ・ 大阪市西区阿波座に本社があり、旧社名大阪曹達の基礎化学品分野から機能化学品、電極、ファインケミカル、医薬中間体、バイオ、電子材料分野へ独自技術を活かした特長ある化学製品を提供している企業です。 ・ 業績は好調で、原材料・燃料高を円安効果で補っています。 ・ 2015年には、創立100周年を迎える歴史のある企業です。 ・ 株価は、好業績を背景に2014年1月21日に401円の高値を付けてからは、反落。300円台前半での保ちあい相場が続いています。 |
銘柄コード |
4027 |
|
---|---|---|
銘柄名 |
||
株価 |
284円 |
|
単元株数 |
1,000株 |
|
予想PER(連) |
9.1倍 |
|
実績PBR(連) |
0.47倍 |
|
予想配当利回り |
2.11% |
|
配当単価 |
6円 |
|
時価総額 |
143億円 |
|
ポイント |
・ GNT対象:化粧品向けの微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛 ・ 大阪市中央区北浜に本社がある、 酸化チタンと界面活性剤が2本 柱の化学会社です。 ・ 1919年(大正8年)、硫酸と過燐酸を主製品とする帝国人造肥料株式会社を創業したのが、テイカの歴史の始まりです。 ・ 光触媒用酸化チタンや電子・電池材料、UVカット化粧品材料など、環境・エネルギー・健康を意識した新製品を次々と開発し、時代の先端分野に活躍のフィールドを拡げています。 ・ 2013年9月2日安値262円から、10月1日高値390円まで、ほぼ5割高の大暴騰を演じてからは反落し、277円から325円の保ちあい相場が続いています。 |
銘柄コード |
3569 |
|
---|---|---|
銘柄名 |
||
株価 |
834円 |
|
単元株数 |
1,000株 |
|
予想PER(連) |
14.6倍 |
|
実績PBR(連) |
0.91倍 |
|
予想配当利回り |
1.80% |
|
配当単価 |
15円 |
|
時価総額 |
520億円 |
|
ポイント |
・ GNT対象:繊維製品の一貫生産ビジネスモデル「ビスコテックス」 ・ 福井県福井市に本社があるい自動車用シートの大手企業です。 ・ 独自開発によるIT(情報技術)を駆使したデジタル プロダクション システム「ビスコテックス」と、企画−製造−販売の一貫システムとの融合により、顧客ニーズに即応した、また高度に差別化された商品群の開発・販売が、同社の強みです。 ・ 北米など日系車生産活発で自動車内装材が伸びるなど業績は好調なようです。 ・ 2014年1月8日高値の875円をつけてけら、2月4日安値695円まで急反落しました。その後は戻り相場になり、800円台の高値圏での保ちあいが続いています。 |
銘柄コード |
4186 |
|
---|---|---|
銘柄名 |
||
株価 |
2,186円 |
|
単元株数 |
100株 |
|
予想PER(連) |
14.8倍 |
|
実績PBR(連) |
0.74倍 |
|
予想配当利回り |
2.20% |
|
配当単価 |
48円 |
|
時価総額 |
1.019億円 |
|
ポイント |
・ GNT対象:半導体用フォトレジスト(基盤を焼き付ける薬品) ・ 神奈川県川崎市中原区に本社がある半導体レジスト等機能材料で世界首位クラスの化学企業です。 ・ 2014年2月12日に、エッジポイント・インベストメント・グループ・インクが 2,362,590株、保有株比率5.07%の大量有価証券の保有報告を行っています。 ・ 2013年6月から、ほぼ2,000円から2,300円の狭い値幅でのレンジ相場が続いています。 |
PER、予想配当は東洋経済新報社予想。株価は2014年3月24日終値基準
株価チャートは、当社HPより、投資調査部作成。
銘柄選定の根拠(基準や前提)
・「グローバルニッチトップ(GNT)企業100選」に選定された上場企業であること
・予想PER、実績PBR、予想配当利回り、の3つの投資指標が、東証1部の全銘柄平均よりも割安な銘柄のなかで、実績ROEの高い順に5銘柄選定しました。
- ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。