皆さん、こんにちは。
韓国の文在寅大統領の特使として北朝鮮を訪問し金正恩朝鮮労働党委員長と会談した鄭義溶国家安保室長は、南北首脳会談を4月末に開催することで北朝鮮側と合意したと明言しました。さらに、北朝鮮側は非核化問題や関係正常化をめぐり米国と対話する用意があると表明しました。トランプ大統領は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の要請を受け入れ、5月までに初の米朝首脳会談に応じる意向を示し、朝鮮半島情勢の緊張緩和期待が広がりました。
米ホワイトハウスは、政権の経済政策の司令塔であるコーン米国家経済会議(NEC)委員長が辞任すると発表しました。鉄鋼とアルミニウムへの輸入制限方針をめぐりトランプ大統領と対立したことなどが原因とみられており、政権が一段と保護貿易主義に傾くのではとの懸念が株式市場の売り材料となりました。その後、トランプ大統領はツイッターで、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を課す輸入制限措置について、貿易・安全保障両面での「公正な扱い」を条件に友好国や同盟国を関税の適用外とする方針を表明しました。対象国が絞られる可能性が高まったことで、貿易摩擦の激化懸念が後退しました。
トランプ大統領絡みのニュースはマーケットを不安定な展開にする要素をはらんでいますが、足元の経済指標は好調を維持しています。米サプライ管理協会(ISM)が発表した2月の非製造業景況指数は59.5と市場予想を上回りました。米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した2月の全米雇用報告は、非農業部門の民間就業者数(季節調整済み)が前月比23万5,000人増と市場予想を上回りました。米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した12地区連銀景況報告(ベージュブック)によると、1〜2月の米景気は「控えめから緩やかな拡大」が続き、全国的に景気の足取りが確りしている状況が改めて伺える内容でした。米労働省が発表した2月の雇用統計は、景気動向を反映する非農業部門就業者数が季節調整済みで前月比31万3,000人増と市場予想を大きく上回りました。インフレ指標のひとつである平均時給は0.1%上昇となり、市場予想を下回りました。市場関係者の見方によると、平均時給が予想を下回ったことで利上げペースの加速にはつながりにくいということで、程よい内容だったようです。
欧州中央銀行(ECB)は8日定例理事会で金融政策の現状維持を決定しました。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で「ユーロ圏の成長は予想よりも早いペース」と発言し、量的緩和は少なくとも9月末まで継続し、終了後も政策金利は一定期間据え置くとの見解を示しました。
鉄鋼・アルミ問題も当初の予想よりも穏健な内容に変わり、北朝鮮問題も緊張緩和となっており、株式市場にとってはトータル的にはプラスの材料が多かったようです。この流れを汲んで上昇トレンドに移行するのか、予想外のニュースが出てきて反落するのか、今後の展開に注目しましょう。
週間の概況
◆注目イベント
3月14日(水)08:50(日本)日銀・金融政策決定会合議事要旨(1月22-23日開催分)
3月14日(水)19:00(ユーロ圏)1月鉱工業生産
3月14日(水)21:30(米国)2月小売売上高
3月14日(水)21:30(米国)2月生産者物価指数
3月14日(水)23:00(米国)1月企業在庫
3月15日(木)17:30(スイス)スイス中銀政策金利発表
3月15日(木)21:30(米国)3月NY連銀製造業景況指数
3月15日(木)21:30(米国)新規失業保険申請件数
3月15日(木)21:30(米国)3月フィラデルフィア連銀製造業指数
3月15日(木)21:30(米国)2月輸入物価指数
3月15日(木)23:00(米国)3月NAHB住宅市場指数
3月16日(金)13:30(日本)1月鉱工業生産・確報
3月16日(金)19:00(ユーロ圏)2月消費者物価指数(HICP)・確報
3月16日(金)21:30(米国)2月住宅着工件数
3月16日(金)21:30(米国)2月建設許可件数
3月16日(金)22:15(米国)2月鉱工業生産
3月16日(金)22:15(米国)2月設備稼働率
3月16日(金)23:00(米国)3月ミシガン大消費者信頼感指数・速報
3月19日(月)08:50(日本)2月貿易収支
3月19日(月)19:00(ユーロ圏)1月貿易収支・季調前
3月20日(火)09:30(豪国)RBA議事録
3月20日(火)18:30(英国)2月消費者物価指数
3月20日(火)18:30(英国)2月小売物価指数
3月20日(火)19:00(ユーロ圏)3月ZEW景気期待指数
3月20日(火)24:00(ユーロ圏)3月消費者信頼感・速報値
※今週は日銀・金融政策決定会合議事要旨に注目しましょう。米国の小売売上高や住宅着工件数、新規失業保険申請件数の結果も確認しましょう。
チャート分析による銘柄診断
日経225分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
第4ステージ
第4ステージは安定下降期です。短期移動平均線が上向きになっています。
◆今後を読み取る鍵
第4ステージは下降期です。短期移動平均線と帯の関係に注目していきましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに更に勢いが出る場合は、帯に傾きが出て間隔が広がってきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値24,238円 安値20,683円
※抵抗線・支持線となりやすい価格です。そこを突破することに意味があります。
NYダウ分析
※移動平均線大循環分析の見方はこのレポートの最後にまとめてあります。ご参照ください。
◆現在のステージ
第5ステージ
第5ステージは下降期の終焉です。短期移動平均線が上向きです。
◆今後を読み取る鍵
第5ステージは下降期の終焉です。短期移動平均線と帯の関係に注目しましょう。
・上昇トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を上抜けていきます。
・下降トレンドに移行する場合は、短期移動平均線が帯を下抜けていきます。
そこに注目していきましょう。
◆重要な価格
高値26,835ドル 安値23,027ドル
※抵抗線・支持線となりやすい価格、そこを突破することに意味があります。
小次郎講師のVトレーダー養成講座
先週から新高値・新安値更新について勉強しています。
この上昇トレンドの途中(右斜め上向きの矢印の最中)で買いエントリーしたトレーダーは3,640円近辺での売り手じまいのチャンスを逃しました。「今度また、3,640円まで上昇したらそのときは絶対に決済するぞ」という気持ちになっており、また、同じようなことを考えているトレーダーが無数にいます。このような事情から、3,640円の地点には売り指値が大量に溜まっていくことになります。
ところが、相場はなかなか上向いてくれません。やがて、価格がさらに下がって3,640円にはなかなか到達しそうにないと考え始めたトレーダー達は指値の位置を少し下げ始めます。その結果、今度は3,640円から現在の値段までの間にさまざまな売りの指値注文が溜まってくるのです。
すると、どうなるでしょう。価格が上昇しても、大量の売り指値注文が待ち構えているわけですから、上がれば売られる、上がれば売られる、を繰り返していきます。仮に、売り指値を少しずつ消化して価格が上昇してきても、3,640円の地点での大量の売り注文が価格の上昇を邪魔するのです。
チャートを見てみましょう。2012年11月末に3,640円に挑戦して跳ね返されています。これは大量の売り指値注文のせいだったと考えられます。
しかし、価格の上昇が本物であれば、3,640円に溜まっている大量の売り注文もやがて消化されます。そして、すべてを消化して3,640円を超えたとき、そこから先は頭を押さえる売りはもうありません。このため、3,640円を超えた瞬間にわずかな買い注文でも価格はスルスルと上がるのです。これが、新高値を付けた時点で買いにエッジができる理由となりますので、何度も読み返して、一連の展開の流れを確りと理解していきましょう。
移動平均線大循環分析の見方(簡易版)
移動平均線大循環分析とは?
3本の移動平均線の並び順と傾きで現状を分析し、今後の展開を予測する指標です。価格変動の中で買いにエッジ(優位性)が発生する局面、売りにエッジが発生する局面を見つけ出すことができます。
<移動平均線大循環分析>
ステージとは?
3本の線の並び順は全部で6種類。それをステージ1から6と名付けました。(下図参照)
価格変動の中でステージは基本的に時計回りで推移し、ときに一時的に反時計回りで推移します。
つまり現在がステージ1だとすると、次に移行するのはステージ2というのが基本で、ときにステージ6に戻ることがあるということです。これ以外の展開はありません。これにより今後の展開が読みやすくなります。
売買チャンス
ステージ1で3本の線が右肩上がりのときは買いトレードにエッジ(優位性)があります。ステージ4で3本の線が右肩下がりのときは売りトレードにエッジがあります。
帯
移動平均線大循環分析において中期移動平均線と長期移動平均線の間を「帯(おび)」と言います。帯は大局トレンドの状態を示します。
帯による分析
帯が傾きを持ち間隔が広がっている状態が、トレンドが勢いを持っている状態です。間隔が狭まったり傾きが緩やかになるとトレンドが勢いを失ったことがわかります。またもみあい相場では帯は横這いとなり、細くなります。
価格及び短期移動平均線が帯の上にいるのが買い時代、帯の下にいるのが売り時代を表します。
- ※3本の移動平均線は短期5日、中期20日、長期40日のEMA(指数平滑移動平均線)を利用しています。